ベトナム不動産2026年法改正|宅建士が外国人購入枠で検証した7変化

AFP・宅地建物取引士として海外不動産に10年近く関わってきた私が、ベトナム2026年の不動産法改正を実務視点で徹底的に検証しました。外国人購入枠の緩和やリースホールド条件の変更は、投資判断に直結する変化です。フィリピンでプレセールコンドミニアムを購入した経験と、現地視察で得た生の情報を組み合わせながら、7つの変化を具体的に解説していきます。

ベトナム2026年法改正の全体像と背景

2024年改正住宅法・不動産事業法の延長線上にある2026年施行ルール

ベトナムでは2023年末に改正住宅法と改正不動産事業法が国会で可決され、2024年8月から段階的に施行が始まりました。さらに2026年には細則・施行令の整備が完了し、外国人向けルールが実務レベルで「使える状態」になります。法律の条文が整っても、省令や通達が揃わないと実際の登記手続きができないのはアジア新興国不動産の典型的なパターンです。私がフィリピンでプレセールコンドを購入した際も、法律と現場実務の乖離に何度か直面しました。ベトナムでも同じ構造が続いていましたが、2026年に向けてその溝が埋まりつつあります。

改正の骨子は大きく3点です。第一に外国人の購入可能戸数上限の算定方式の見直し、第二にリースホールド(使用権)の更新要件の明確化、第三に外国人オーナーによる賃貸・転売時の手続き簡素化です。これらは独立した変更ではなく、「外国資本を呼び込みつつ土地の国家所有原則を守る」というベトナム特有のバランス感覚の産物と理解する必要があります。

日本の宅建業法とは根本的に異なる土地所有制度

ここで宅建士として重要な前提を共有しておきます。日本の宅建業法は所有権の移転を前提に設計されていますが、ベトナムでは土地はすべて「全人民の所有」であり、個人・法人が取得できるのは「土地使用権(LURとも呼ばれます)」に過ぎません。外国人の場合はさらに限定的な「住宅所有権+土地使用権の時限付き取得」という形を取ります。日本の感覚で「購入した」と思っていると、更新や売却の局面で想定外のコストや手続きが発生します。この構造的な違いを理解せずに「利回り〇%」だけを見て判断するのは危険です。

私自身、フィリピンのプレセール物件を検討した際に比較対象としてベトナムも調べましたが、当時は外国人向けルールがあまりにも不透明で見送った経緯があります。2026年施行のルールは、その不透明さを一定程度解消するものと評価しています。ただし、為替リスク・現地法律リスクは依然として残ることを念頭に置いてください。

宅建士の私がフィリピン購入経験から読み解く外国人購入枠7変化

変化①〜④:購入枠・登記・賃貸・融資の4つの実務的変更点

私がフィリピンのオルティガスエリアでプレセールコンドミニアムを購入した際、外国人購入枠(1棟あたり外国人所有比率40%以下)は制度として明確でした。ベトナムの2026年改正では、同様の枠組みがより精緻化されます。具体的な7変化を順に見ていきましょう。

変化①:購入可能戸数の算定単位が「棟」から「行政区画単位」へ。従来は1つの分譲棟の総戸数の30%以内という基準でしたが、2026年以降は区(ward)単位での外国人所有比率に上限が設けられる方向です。これはホーチミン市ビンタン区などの人気エリアで外国人集中を防ぐ狙いがあります。

変化②:ピンクブック(所有証書)の外国人名義取得プロセスの標準化。これまで地方によって手続きが異なっていた登記実務が、2026年には全国統一フォームに移行します。フィリピンでCCT(コンドミニアム証書)を取得した私の経験から言えば、証書の取得プロセスが標準化されることは売却時の流動性向上に直結します。

変化③:外国人オーナーによる第三者への賃貸が明示的に合法化。従来はグレーゾーンだった外国人名義物件の賃貸運用が、2026年改正で明確に許可されます。これは利回りを実現する上で根本的に重要な変更です。

変化④:外国人向けモーゲージ(住宅ローン)の解禁検討。現時点では外国人向けの現地銀行ローンは事実上利用できませんが、外資系銀行経由での融資スキームが制度上認められる方向で議論が進んでいます。ただし、実際に利用可能になる時期は未確定であり、資金計画は全額自己資金を前提に組むのが現実的です。

変化⑤〜⑦:リースホールド・相続・出口戦略に関わる3変化

変化⑤:リースホールド更新の自動化。50年の使用権期間終了後の更新手続きが、2026年以降は申請ベースから「更新拒否の場合のみ通知」というオプトアウト型に変わる方向です。更新を忘れて権利を失うリスクが軽減されますが、国の政策が変わった場合の不確実性は残ります。

変化⑥:外国人所有物件の相続権の明確化。外国人オーナーが死亡した場合、配偶者・子への相続が認められる範囲と手続きが明記されます。これまで相続が宙に浮くケースがあり、保険代理店時代に富裕層の資産相談を担当していた私は「海外物件の相続」を想定したプランニングの重要性を痛感しています。

変化⑦:売却時の譲渡所得税の計算基準の統一。現行は購入価格の証明が難しいケースで課税基準が曖昧でしたが、2026年からは登記価格を基準とした計算式が明確化されます。ただし、日本居住者はベトナムと日本の両方で課税関係が生じる可能性があります。税務処理については必ず日越両国の税務専門家に相談することを強くお勧めします。

ホーチミン実勢価格と利回り目安・リースホールド残存年数の罠

2025年時点のホーチミン各エリアの価格帯と想定利回り

私が視察で確認した2025年時点のホーチミン市内の価格感を共有します。ディスタリクト1(中心部)の高級コンドミニアムは1平方メートルあたり5,000〜8,000米ドル前後、ビンタン区・トゥードゥック市などの新興エリアでは2,500〜4,000米ドル前後が目安です。50〜60平方メートルのワンベッドルームを取得する場合、中心部で約2,500〜4,000万円相当、新興エリアで1,200〜2,000万円相当というイメージです。

私がフィリピンのオルティガスで約3,500万円のプレセール物件を購入した際の判断基準の一つが「賃料相場と利回りの整合性」でした。ホーチミンの場合、賃貸需要が旺盛なディスタリクト2・7エリアでは表面利回りで4〜6%程度が見込まれる水準とされています。ただし管理費・修繕積立・空室期間・為替変動を考慮した実質利回りは2〜4%程度に落ち着くことが多く、数字の読み方には注意が必要です。利回りはあくまでも目安であり、個別物件や市況によって大きく異なります。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版

リースホールド残存年数が売却価格に与える影響

リースホールド物件を購入する際に見落とされがちなのが「残存年数の価格への影響」です。日本の借地権付き物件と同様に、残存年数が短くなるほど売却価格への影響が大きくなります。特に注意が必要なのは、プレセール段階では竣工まで2〜3年かかる場合があり、実際に購入者の手元に届いた時点で残存年数がすでに削られているケースです。

私がフィリピンでプレセール物件を購入した際、竣工が予定より18ヶ月遅延しました。ベトナムでも同様の竣工遅延リスクは現実的に存在します。2026年改正では開発業者に対するエスクロー口座の義務化が強化される方向ですが、完全なリスク排除ではありません。リースホールド残存年数は「購入時点」ではなく「将来の売却時点」で何年残るかを計算した上で、出口戦略と組み合わせて考えることが重要です。

ハノイ新興エリアと2027年以降の出口戦略

ハノイ西部・北部の新興開発エリアで見えてきた5つの注目地点

ハノイでは2025〜2026年にかけて複数の大規模インフラ整備が予定されており、それに連動した新興エリアの開発が加速しています。私が視察した際に注目したのは主に西部のナムトゥーリエム地区周辺、北部のドンアン省境エリア、ロンビエン橋北詰周辺の3エリアです。加えて、ハノイ新国際空港(ノイバイ空港の機能拡張)に関連した北部開発ゾーンと、南部のニャー国際展示場周辺も将来的な値上がり期待があると現地エージェントから聞いています。

ただし、新興エリアは価格上昇の期待がある一方で、インフラ整備の遅延リスク・需給バランスの崩れ・流動性の低さという三つのリスクを抱えています。ホーチミンに比べてハノイは外国人居住者の絶対数が少なく、賃貸需要の厚みという点では見劣りします。キャピタルゲイン狙いか、インカム(賃料)狙いかで、選ぶエリアは全く異なります。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例

2027年以降の売却・出口を見据えた保有戦略

保険代理店時代、富裕層の資産相談で繰り返し目の当たりにしたのは「入口は丁寧に考えるが出口がない」という失敗パターンです。ベトナム不動産は2026年の法改正によって売却手続きが整備されますが、実際に外国人が売却益を本国に送金するまでのプロセスは依然として複雑です。

2027年以降の出口戦略として現実的な選択肢は3つあります。第一に、ベトナム人または他の外国人投資家への売却。第二に、現地賃貸市場でのインカム運用継続。第三に、開発業者の買い戻しプログラムの活用です。私自身はフィリピン物件の出口については現時点でキャッシュフロー重視の保有継続を選択していますが、ベトナム物件を検討する場合は「誰に、いくらで、いつ売るか」を入口の段階でシミュレーションしておくことが不可欠だと考えています。海外送金・税務処理については国によって異なりますので、必ず専門家に相談してください。

まとめ:ベトナム2026年改正を前に宅建士が確認すべき7つのチェックポイント

判断前に押さえておきたい7変化の整理

  • ①購入枠の算定が「棟単位」から「行政区画単位」に変わり、人気エリアでの取得競争が激化する可能性がある
  • ②ピンクブック取得プロセスの全国標準化により、売却時の流動性向上が期待される
  • ③外国人名義物件の賃貸運用が明示的に合法化され、インカム収益の実現性が高まる
  • ④現地融資スキームの検討は進むが、資金計画は自己資金前提で組む方が現実的
  • ⑤リースホールド更新がオプトアウト型になるが、政策変更リスクは残る
  • ⑥相続・譲渡所得税の計算基準が明確化され、長期保有の予測可能性が向上する
  • ⑦竣工遅延・為替変動・現地法律の変更リスクは改正後も引き続き存在する

トラブルを防ぐための専門家活用と査定の重要性

宅建士として断言しますが、海外不動産のトラブルは「入口での情報不足」と「出口での価格根拠の欠如」から生まれます。ベトナム不動産は2026年の法改正で制度的な整備が進む一方、日本の宅建業法の枠外にある市場であるため、日本国内の取引以上に慎重な調査と専門家への相談が必要です。

私自身、フィリピン物件を購入する前に複数の専門家に相談し、現地弁護士によるデューデリジェンスを経て最終判断を下しました。ベトナム物件を検討する際も同様のプロセスを踏むことを強くお勧めします。また、すでに何らかの不動産トラブルを抱えている方、あるいは今後のリスク管理として公平な査定情報が必要な方には、一般社団法人が運営する第三者的な窓口の活用を検討してみてください。個人差はありますが、専門家への早期相談がトラブルの拡大を防ぐ有効な手段となる場合があります。

【一般社団法人が提供する公平な不動産査定】トラブル解決協会

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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