AFP・宅建士として国内外の資産相談に携わってきた私が、35歳の自分自身の移住計画を組み立てる中で気づいたのは、「老後の海外移住 おすすめ 2026」という問いへの答えが、数年前とはかなり変わってきているという事実です。円安・物価上昇・年金不安が重なった今こそ、ビザ・生活費・不動産・税務の4軸で7カ国を冷静に比較する必要があります。
老後の海外移住が2026年に再注目される4つの理由
円安と国内物価上昇が「移住コスト優位」を変えた
2022年以降の急激な円安で、海外生活コストが割高に感じられる時期がありました。しかし2025年時点でも、フィリピン・マレーシア・タイといったアジア圏の生活費は、東京23区での暮らしと比べると月額ベースで30〜50%程度低い水準を維持しています。
一方で国内の食料品・光熱費・社会保険料の上昇は続いており、「日本にいれば安心」という前提が崩れつつあります。実際に私が以前勤めていた総合保険代理店でも、50代の個人事業主から「老後の生活費をどう圧縮するか」という相談が年々増えていました。海外移住はその有力な選択肢の一つです。
リタイアメントビザ制度の整備が加速している
2026年現在、フィリピンのSRRV(特別居住退職者ビザ)、マレーシアのMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)、タイのLTRビザ(長期居住ビザ)など、リタイアメントビザ制度を持つ国が増えています。また欧州ではポルトガル・スペインを中心にゴールデンビザ制度が整備されており、資産規模によっては永住権取得への道も開かれています。
ビザ制度の整備は、移住の「法的安定性」を大きく高めます。観光ビザを延長し続けるグレーな滞在とは異なり、長期合法滞在の基盤があることは、老後の海外移住を現実的な選択肢として押し上げる重要な要素です。
私がフィリピン物件購入とハワイ運用で学んだこと
マニラ新興エリアのプレセール購入で直面した現地法の壁
私は数年前、フィリピン・オルティガス地区のプレセールコンドミニアムを購入しました。購入価格は日本円換算で約1,200万円台。当時は「日本の宅建業法とは全く異なる制度設計」だと痛感した経験があります。
フィリピンでは外国人はコンドミニアムの区分所有は可能ですが、土地の所有は原則禁止されています。これは日本の不動産取引とは根本的に異なるルールです。宅建士の資格を持つ私でさえ、現地の不動産規制庁(DHSUD)のルールや、HOA(管理組合)費の仕組みを把握するまでに相当な時間を要しました。海外不動産への投資を検討する際には、現地の法律と日本の宅建業法が別物であることを前提に、現地の専門家への相談を強く推奨します。
また為替リスクも無視できません。フィリピンペソと円の為替レートは、私が購入した時期と比較しても10%以上変動しています。収益が見込まれる局面でも、為替次第で実質利回りは大きく変わります。この点は十分に留意が必要です。
ハワイのタイムシェア運用で知った「管理費という見えないコスト」
私はハワイの主要リゾートエリアにマリオット系のタイムシェアも保有しています。タイムシェアは「所有権のある宿泊権」とも言われますが、実際に運用してみると、毎年発生するメンテナンスフィー(管理費)が想定以上に重くなる局面がありました。
保険代理店時代に富裕層の相談を受けていた際も、タイムシェアの出口戦略に悩むケースを複数件見ています。「老後の拠点」として海外不動産を考える場合、購入価格だけでなく、保有中のランニングコストと売却時の流動性リスクを必ずセットで試算することが重要です。個人の資産状況によって結論は大きく異なりますので、専門家への相談を推奨します。
アジア3カ国vs欧州ゴールデンビザ系:4軸での7カ国比較
アジア圏(フィリピン・マレーシア・タイ)の現実コストと制度
フィリピンのSRRVは、35歳以上で定期預金として約150万円相当(35〜49歳は約400万円相当)をフィリピンの指定銀行に預ければ申請できるビザです。生活費は首都マニラのコンドミニアム賃料を含めても月15〜25万円程度で収まるケースが多く、医療費も私立病院で日本の半額以下の水準です。ただし医療の質は病院によって差があり、重篤な疾患の場合は日本へ戻る選択肢も考えておく必要があります。
マレーシアのMM2Hは2021年の制度改定で条件が大幅に厳格化され、月収約100万円相当の証明が必要になりました。2024年以降に再改定の議論もあり、制度の安定性という観点では注視が必要です。タイのLTRビザは年収約550万円相当以上のリタイア層を対象とし、医療水準・インフラ整備・英語対応の充実度はアジア圏でも高い部類に入ります。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
欧州ゴールデンビザ系(ポルトガル・スペイン・ギリシャ)の現実
欧州ゴールデンビザの代表格であるポルトガルは、2023〜2024年にかけて不動産購入ルートを廃止する改正を行いました。現在は投資ファンドや文化事業への投資が主な取得ルートで、最低投資額は約50万ユーロ(約8,000〜9,000万円)前後が目安です。永住権・EU域内移動の自由という観点では魅力が高い選択肢ですが、取得までの期間が長く、審査の透明性にも課題があります。
スペインのゴールデンビザは不動産50万ユーロ以上が条件でしたが、2024年に廃止検討の動きがありました。ギリシャは25万ユーロ台からのエントリーが可能で、アテネ郊外の不動産購入と組み合わせる事例が増えています。ゴールデンビザ比較においては「ビザ取得コスト」「実際の居住義務日数」「税務上の居住者判定基準」の3点を必ず確認することを推奨します。海外送金・税務は国によって異なりますので、税理士・行政書士などの専門家への相談が不可欠です。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
不動産と税務の落とし穴:老後移住で失敗しないための視点
海外不動産購入後に日本で課税される仕組みを理解する
日本の税制では、日本居住者が海外不動産から賃料収入を得た場合、その収入は日本での確定申告対象となります。フィリピンの物件で月額賃料収入が発生している場合でも、私は毎年日本で確定申告を行っています。これは「海外で稼いでいるから日本の税金は関係ない」という誤解が非常に多い部分です。
また非居住者になった後も、日本国内に賃貸物件や金融資産があれば課税関係は継続します。海外移住後の日本の税務上の「居住者」か「非居住者」かの判定は、183日ルールだけでなく「生活の中心がどこにあるか」という実態で判断されるため、曖昧な状態で移住を進めると税務リスクが生じます。必ず移住前に税理士への相談を行ってください。
老後の海外不動産保有で特に注意すべき「出口問題」
海外不動産は購入しやすくても、売却が難しいケースがあります。私がフィリピンのプレセール物件を調査した際にも感じましたが、現地の二次流通市場(中古市場)は日本と比べて流動性が低く、希望価格での売却には時間がかかる場合があります。老後の資金計画において、流動性の低い資産を大きな割合で持つことは、緊急時のリスクとなり得ます。
AFPとして資産相談に携わってきた経験から言うと、海外不動産は「老後の生活費削減手段」と「資産形成」の両面から位置づけを明確にした上で、全体の資産配分の一部として組み込む考え方が、長期的にバランスが取りやすいと考えています。海外不動産への配分比率については個人差がありますので、ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。
2026年から始める老後移住の準備5手順:まとめとCTA
35歳計画から見えた「動くべき順番」
- 手順1:ビザ制度の最新情報を確認する——リタイアメントビザの条件は毎年変わります。2026年時点の要件を各国大使館・公式機関で必ず確認してください。
- 手順2:税務上の居住者判定を事前に専門家と整理する——移住前に日本の税理士に相談し、出国後の課税関係をシミュレーションしておくことが重要です。
- 手順3:医療保険の継続可否を確認する——日本の国民健康保険は海外在住中は脱退が原則です。現地加入の医療保険または民間の海外旅行保険・海外医療保険の準備を早めに検討してください。
- 手順4:海外不動産を検討する場合は現地専門家を起点にする——日本の宅建業法は海外不動産には適用されません。現地の不動産規制・法律を熟知した専門家のサポートを必ず活用してください。
- 手順5:日本の資産(不動産・金融資産)の整理方針を決める——移住後も日本に不動産を保有する場合、管理・賃貸・売却のどれが自分の計画に合うかを事前に判断しておく必要があります。
海外不動産のトラブルを事前に防ぐために
私自身がフィリピンの物件購入を通じて痛感したのは、「海外不動産は購入してからが本番」だということです。管理会社との契約トラブル、入居者とのやり取り、現地税務申告の手続きなど、購入後に発生する課題は決して少なくありません。日本国内の不動産においても同様で、特に老後の拠点として位置づける資産については、査定・トラブル対応の窓口を事前に把握しておくことが安心につながります。
老後の海外移住 おすすめ 2026という観点で7カ国を比較してきましたが、どの国が「あなたに合うか」は、年齢・資産規模・健康状態・家族構成によって大きく異なります。個人差がありますので、本記事を参考にしつつ、必ず専門家への相談を組み合わせて判断してください。国内不動産の整理や査定を検討している方には、以下の窓口が公平な立場での相談を提供しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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