永住権の取得相場は、制度によって最低投資額が数百万円から数億円まで幅があります。私はAFP・宅建士として資産相談に携わりながら、自身のアジア圏への海外移住計画を実行するため、7つの投資永住権制度を実際の費用ベースで比較しました。この記事では、ゴールデンビザを含む主要制度の実額と、資産形成との両立という視点で判断軸を整理します。
永住権取得相場の全体像:制度ごとに「桁」が違う現実
投資額の幅は500万円〜5億円超——制度選びが資産戦略の起点になる
永住権の取得相場を一言で表すなら「どの国の制度を使うか」で完全に変わる、が正直なところです。私が調査した範囲では、東南アジア系のリタイアメントビザに近い制度であれば預託金ベースで500万〜1,000万円台から申請できる一方、欧州のゴールデンビザ(投資家向け永住権)は不動産投資額が5,000万円〜1億円を超えることが標準的です。
重要なのは「投資額=総コスト」ではない点です。申請手数料・弁護士費用・現地渡航費・維持更新費などを合算すると、表面の最低投資額から20〜30%程度コストが積み上がるケースも珍しくありません。海外移住費用として資金計画を立てる際は、この「諸費用込みの実額」を最初に把握しておくことが不可欠です。
「投資型」「居住型」「就労型」——制度の性格を先に理解する
永住権制度は大きく3つの性格に分けられます。①不動産・ファンドへの投資を条件とする投資型(いわゆるゴールデンビザ)、②一定期間の居住実績を求める居住型、③現地での就労・起業を条件とする就労型です。
海外資産形成を目的とするなら、投資型が資産と永住権を同時に確保できる点で合理的に見えます。ただし、投資型は「投資したお金が返ってこないケース」や「物件の流動性が著しく低いケース」も存在します。宅建士として国内外の不動産案件を見てきた私の視点では、永住権ありきで不動産を選ぶと投資の質が下がりやすい、という点は強調しておきたいです。
主要7制度の投資額比較:2027年時点の実額データ
ドバイ・ポルトガル・マルタ・マレーシア・フィリピン・タイ・UAEを並べると
私が移住候補として実際に比較した7制度の概要を整理します。なお、各制度の要件は頻繁に変更されます。以下の数字はあくまで参考値であり、申請前には必ず現地の最新情報と専門家への確認をお勧めします。
- UAE(ドバイ)ゴールデンビザ:不動産取得額200万AED(約8,000万円)以上または事業投資ルート。10年間有効で更新可能。
- ポルトガルゴールデンビザ:2023年以降、不動産ルートが大幅縮小。ファンド投資ルート50万ユーロ(約8,500万円)が現実的な主軸。
- マルタ永住権(MPRP):政府拠出金6万〜10万ユーロ+不動産賃借または購入が条件。総額ベースで1,500万〜2,500万円程度。
- マレーシアMM2H:2021年改訂後、預託金150万リンギット(約5,000万円)以上に引き上げ。改訂前の基準で取得した人との差が大きい。
- フィリピンSRRV(特別居住退職者ビザ):50歳以上で預託金2万ドル(約300万円)から。ただし永住権とは性格が異なる長期居住ビザの位置づけ。
- タイLTRビザ:富裕層向けは資産保有100万ドル(約1.5億円)以上が条件。10年有効の長期滞在ビザで永住権ではないが移住実務上は機能する。
- UAEフリーランス・起業ルート:フリーゾーン法人設立+ビザ取得で年間30万〜80万円程度。永住権ではなく就労ビザだが、更新前提で長期滞在が可能。
この7制度を並べると、フィリピンSRRVが入口コストとして際立って低い一方、居住権としての法的安定性と永住権としての位置づけは欧州制度と大きく異なります。海外移住費用として純粋に比較することは難しく、「何を目的に取得するか」で評価軸が変わります。
永住権 投資額の「実質コスト」は表示額の1.2〜1.4倍を見ておく
表示される最低投資額の他に、実務上必ずかかるコストがあります。弁護士・コンサルタント費用は制度によって50万〜200万円以上、現地での口座開設・会計費用・翻訳公証費用が数十万円、さらに申請期間中の現地渡航費用も積み上がります。
私が保険代理店勤務時代に富裕層の資産相談を担当していた頃、「ポルトガルのゴールデンビザを取ったが、弁護士費用と現地コンサル費用だけで300万円以上かかった」という事例を複数聞きました。表面の最低投資額だけを見て動き出すのは危険です。永住権 取得の相場を把握するには、必ず「総取得コスト」で見積もる習慣をつけるべきです。
申請費用と維持コスト:私がフィリピン購入時に実感した「隠れコスト」
フィリピン・オルティガスのプレセール購入で学んだ諸費用の実態
私は実際に、フィリピン・マニラの新興エリアでプレセールコンドミニアムを購入しています。永住権と直接紐づいた取引ではありませんが、この経験を通じて「海外不動産の実額コスト」の構造を身をもって理解しました。
購入価格は日本円換算で約650万円、頭金30%を現地送金し、残額は分割払いというスキームです。ここに加わった諸費用として、移転登記税・印紙税・管理組合費・仲介手数料相当の費用が物件価格の7〜10%程度発生しました。さらに為替変動の影響で、送金タイミングによって実質コストが数十万円単位でブレました。海外不動産は為替リスクを必ず織り込んだ実額で考える必要があります。
日本の宅建業法では重要事項説明が義務付けられていますが、海外不動産はこの法律の対象外です。現地の法律・慣行・デベロッパーの信頼性を自力で調査するか、信頼できる現地専門家を使う以外に保護手段がありません。この非対称性を事前に理解しているかどうかが、成功と失敗を分ける分岐点だと私は考えています。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点
維持コストは「年間1〜3%」の管理費・税金が積み上がる
永住権を取得した後も、維持・更新にかかるコストは毎年発生します。例えばマルタMPRPであれば年間管理費用として数万円〜十数万円程度の維持費が必要です。ドバイのゴールデンビザは不動産評価額の維持が条件になるため、物件価値の変動が永住権の有効性に直結します。
私がハワイのリゾートエリアでタイムシェアを運用している経験からも、海外の不動産型投資は「買って終わり」ではなく、年間の管理費・固定費・税金申告コストが継続的にかかることを実感しています。永住権 取得後のランニングコストは最初の10年間で試算すると、制度によっては初期投資額の10〜20%に達することも珍しくありません。これも海外移住費用の一部として最初から計画に織り込む必要があります。
私が比較で見た落とし穴:制度変更リスクと出口戦略の欠如
マレーシアMM2Hの改訂が示す「制度変更リスク」の現実
2021年のマレーシアMM2H改訂は、海外移住を考える人にとって大きな教訓を残しました。改訂前は預託金30万リンギット程度で取得できた制度が、突然150万リンギットへと引き上げられ、既存保有者も新基準への移行を求められるケースが生じました。
制度変更リスクは、ゴールデンビザを含むあらゆる投資永住権に共通するリスクです。ポルトガルも2023年に不動産ルートを事実上廃止しており、取得後10年以上先の維持可能性まで考慮した制度選びが求められます。私が資産相談で感じてきたのは、「取れた時点」ではなく「10年・20年後も有効か」という視点を持っている相談者が圧倒的に少ないという事実です。
出口戦略なき投資永住権は「資産を固める」だけになる
投資型の永住権は、取得のために投下した資金が現地不動産や政府ファンドに固定されます。これ自体は海外資産形成の一環として機能しますが、問題は出口戦略が描けていないケースです。特に不動産連動型は、現地の不動産市況が低迷した際に「永住権のために損切りできない」という状況に陥ります。
宅建士として国内外の不動産案件を見てきた経験から言うと、永住権取得のために購入した不動産は流動性が低い物件であるケースが多いです。投資額を回収するためのシナリオを取得前に描いておかないと、永住権が資産の「鎖」になりかねません。海外資産形成として機能させるには、永住権と投資収益性を切り分けて評価することが不可欠です。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点
まとめと資産形成との両立判断軸:7制度を比べた私の結論
永住権取得相場を整理する4つの判断軸
- 総取得コスト(最低投資額+諸費用)で比較する:表示額の1.2〜1.4倍を実額として試算する。
- 維持コストと制度変更リスクを10年単位で評価する:取得時点だけでなく、更新・維持の継続可能性を確認する。
- 投資としての出口戦略を先に設計する:永住権のために投下した資産を、いつ・どのように回収するか。
- 為替リスクと海外送金コストを必ず織り込む:円安局面では実質コストが大幅に膨らむ。送金手数料・為替スプレッドも実額で確認する。
- 現地の法律と税務は専門家に確認する:日本の宅建業法・税法とは体系が異なります。国によって課税ルールが大きく異なるため、日本側の税理士と現地の弁護士の両方に相談することを強く推奨します。
- 目的を明確にする:節税・資産防衛・生活拠点変更・子供の教育——目的が違えば最適な制度も変わる。
ドバイを移住先の有力候補として検討しているあなたへ
私自身は現在、アジア圏への移住を具体的に計画しながら、ドバイを中期的な選択肢の一つとして引き続き調査しています。ドバイのゴールデンビザは10年間有効で個人所得税がなく、UAEの法人設立と組み合わせることで海外資産形成の拠点として機能する点が魅力的です。ただし不動産取得条件の200万AED以上というハードルは高く、取得後の物件管理・流動性の問題は慎重に評価する必要があります。
永住権の取得相場と制度の詳細は、個々の状況によって最適解が異なります。特に法人設立を絡めた節税スキームや海外移住のサポートを検討しているなら、専門家の力を借りることが現実的な第一歩です。個人差がありますので、ご自身の資産状況・居住意向・ライフプランに合わせて専門家に相談することをお勧めします。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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