ポルトガルゴールデンビザ廃止後の代替地|宅建士が7国比較した実録

ポルトガルゴールデンビザ廃止後、「次はどこへ向かえばいいのか」という相談が私のもとに急増しています。AFP・宅建士として富裕層の資産相談を長年担当してきた私・Christopherが、ギリシャ・スペイン・ドバイ・マルタなど7か国の投資条件と税制を実務視点で比較した内容をお届けします。為替リスクや現地法律の問題も含め、率直にまとめました。

ポルトガルゴールデンビザ廃止後に何が起きたのか

廃止の経緯と投資家が受けた実質的なダメージ

ポルトガル政府は2023年10月、不動産投資ルートを含む形でゴールデンビザ制度の大幅縮小を実施しました。正確には「不動産購入による取得ルートの終了」であり、制度そのものがゼロになったわけではありません。しかし、日本人投資家の多くが活用していた「28万ユーロ〜50万ユーロの物件購入でEU居住権を取得する」というルートは事実上消滅しました。

私が総合保険代理店に在籍していた時期、個人事業主や医師・経営者層からポルトガル移住の相談を複数件受けていました。当時は「物件価格の上昇が続くリスボン郊外でも条件を満たせる」という魅力があり、EU域内移動の自由と組み合わせて非常に人気が高かったのを覚えています。廃止後、相談者の多くは「振り出しに戻った」と感じ、方向性を見失っていました。

ただし、ここで冷静に整理しておく必要があります。ポルトガルのゴールデンビザが優れていた理由は「物件価格の手ごろさ」と「EU居住権」の組み合わせでした。この2つを同時に満たす代替地を探すのは容易ではなく、妥協点をどこに設定するかが判断の分かれ目になります。

富裕層相談500件から見えてきた「移住動機の本質」

私がこれまで担当してきた富裕層相談は、延べ500件を超えます。大手生命保険会社と総合保険代理店での計5年間、そして現在の法人経営を通じて感じることは、「移住=税負担の軽減」だけを目的にしている人は長続きしないという事実です。

ポルトガルが選ばれていた本当の理由は、気候・治安・医療水準・英語通用度・物価という生活の質のバランスにありました。代替地を検討する際には、投資条件だけでなく「そこで実際に生活できるか」を同時に評価することが不可欠です。この視点を欠いたまま節税効果だけを追いかけた相談者の多くが、数年以内に再度の方針転換を余儀なくされています。

富裕層移住の文脈では、居住地としての実態要件(年間滞在日数など)を満たすことが税務上の前提になります。各国の税務・法律ルールは頻繁に変更されるため、最新情報は必ず専門家にご確認ください。

私がフィリピン投資を経験して学んだ「海外不動産の本質」

オルティガスのプレセール購入で感じたリスクの実態

私は現在、フィリピン・オルティガスエリアの新興エリアにプレセールコンドミニアムを保有しています。購入を決断した当時、私はAFP資格を活用して自分自身でキャッシュフローのシミュレーションを組みました。USD建てでの価格設定だったため、円安局面では円換算での「含み益」が膨らんで見えますが、これは為替効果であり純粋な資産価値上昇とは別物です。

実際に購入プロセスを経験して痛感したのは、日本の宅建業法が適用されない海外不動産の「情報の非対称性」です。日本国内で不動産仲介をする場合、宅建士は重要事項を書面で説明する法的義務を負います。しかし海外物件ではこのような義務は発生しません。デベロッパーの財務状況・工期遅延リスク・現地の所有権登記制度の信頼性など、日本では当然チェックされる事項が、現地では自己責任で調査する必要があります。

私が購入を決めたのは、現地視察を2回行い、デベロッパーの過去竣工実績と財務開示資料を自分で確認した上でのことです。それでもゼロリスクではなく、工期遅延は実際に発生しました。海外不動産投資には為替リスク・現地法律リスク・流動性リスクが常に伴います。この点を理解した上で検討することが大前提です。

ハワイタイムシェアの経験から学んだ「出口戦略」の重要性

私はハワイの主要リゾートエリアにマリオット系のタイムシェアも保有しています。タイムシェアは厳密には不動産所有と異なりますが、維持費(メンテナンスフィー)が年間数十万円規模で発生し、「所有コスト」の観点では不動産投資と同質の問題を抱えています。

私が管理会社との交渉で実感したのは、出口戦略の難しさです。タイムシェアは売却市場が非常に限られており、購入時の価格より大幅に低い価格でしか流通しないケースがほとんどです。この経験は、ゴールデンビザ代替として海外不動産を検討する際の「換金性」を評価する視点に直結しています。居住権を目的にした不動産購入でも、いずれは処分するタイミングが来ます。その時に売れる物件かどうかを最初に確認する習慣が、私には身についています。

個人的な経験はあくまで一例であり、投資成果は個人差があります。同様の結果を保証するものではありません。

ギリシャ・スペイン・マルタ——EU圏3か国の現実を比較する

ギリシャゴールデンビザは「本物の代替」になり得るか

ポルトガル廃止後、最も注目を集めているゴールデンビザ代替の筆頭がギリシャです。2024年時点でギリシャのゴールデンビザ取得には、アテネ・テッサロニキなどの主要都市では最低80万ユーロ、それ以外の地域では40万ユーロの不動産購入が必要です(制度は変更される場合があるため、最新情報は必ず専門家または現地機関にご確認ください)。

ポルトガルと比較したとき、ギリシャ移住の優位点は「観光需要に裏打ちされた賃貸収益の期待値」にあります。アテネ中心部・エーゲ海の島嶼部では、エアビーアンドビー型の短期賃貸収益が年率換算で一定の水準を期待しやすい状況にあります。一方で、政治リスク・建物管理の難易度・現地語でのオーナー対応など、現地に拠点を持たない日本人投資家にとっての実務負荷は軽くありません。

私がギリシャ移住を相談された際に必ず確認するのは、「年間何日現地に滞在できるか」という点です。ギリシャのゴールデンビザは物理的滞在義務が比較的緩やかですが、税務上の居住者認定には別途要件があります。節税目的であれば、現地の税務専門家との事前相談が不可欠です。ドバイ アパート投資の失敗例|宅建士が警戒する5つの罠

スペイン廃止・マルタ高額化の流れで消える「お手軽EU移住」

スペインは2024年に不動産ゴールデンビザを廃止しました。マドリードやバルセロナの不動産価格高騰が国内批判を呼んだことが背景にあり、ポルトガルと同様の政治的判断です。マルタは依然として投資移民プログラムが存在しますが、最低投資額が60万ユーロ超と高額化しており、ポルトガル代替として機能するには資金規模のハードルが高くなっています。

EU圏での不動産ゴールデンビザを狙う場合、現実的に残っている主要な選択肢はギリシャ・ラトビア・ハンガリーなど限られた国になっています。ただし、これらの国は生活環境・言語・インフラ・日本人コミュニティの規模においてポルトガルとは大きく異なります。「ポルトガルの代わりとしてのEU移住」を目指すのであれば、一定のトレードオフを受け入れる覚悟が必要です。

ドバイ不動産ビザとアジア圏——EU外の選択肢の実力

ドバイ不動産ビザが富裕層移住の「現実解」になっている理由

私が現在最も注目しているゴールデンビザ代替がドバイです。UAEのゴールデンビザは200万AED(日本円換算でおおよそ7,000万〜8,000万円前後、為替変動あり)以上の不動産を購入することで10年間の居住ビザを取得できる制度です。また、75万AED以上の物件でも2年ビザの取得が可能です(制度詳細は変更の可能性があるため、最新情報は専門機関にご確認ください)。

ドバイの最大の特徴は、キャピタルゲイン課税・個人所得税・相続税がいずれも存在しない点です。ただし「税金免除」と断言するのは正確ではなく、日本の税法上の居住者判定や外国子会社合算税制など、日本側の課税ルールとの兼ね合いを個別に検討する必要があります。海外送金・税務については国によって異なりますので、必ず専門家への相談をお勧めします。

私自身、将来的なアジア圏への移住を計画する中でドバイは真剣な検討対象の一つです。東京での法人経営とインバウンド民泊事業を維持しながら、デュアルベースで拠点を持つという選択肢として、ドバイの「不動産購入→居住ビザ→税務上の非居住者化」というフローは合理性が高いと考えています。

マレーシア・タイ・フィリピンというアジア代替地の位置づけ

私がフィリピン・オルティガスに物件を保有していることもあり、東南アジアの移住ビザ制度には実務的な関心を持ち続けています。マレーシアのMM2Hプログラム、タイのLTRビザ、フィリピンのSRRVなどは不動産購入と連動した長期滞在を可能にする制度として知られています。ただし、いずれもEUゴールデンビザとは異なり、「他国への自由移動権」は付与されません。ドバイ アパートメント賃貸運用のコツ|宅建士が2030年購入計画で固めた7軸

私が東南アジアの投資移住を相談される際に必ず伝えるのは、「生活コストの低さと不動産流動性の低さは表裏一体」という点です。フィリピンの不動産はプレセール段階では価格上昇の期待値がある一方、竣工後の売却市場は限られており、ドバイや香港のような流動性はありません。アジア圏の移住ビザ・不動産投資は「生活の質を落とさずコストを抑える」という目的には合致しますが、EU圏の居住権とは根本的に異なる価値を持つと整理するべきです。

7か国比較の結論とあなたの次のアクション

国別スコアカード:ポルトガル廃止後の代替地を4軸で整理する

  • ギリシャ:投資額40〜80万ユーロ、EU居住権あり、生活の質は高め、流動性は中程度。ポルトガルに最も近い代替地として検討価値がある。ただし現地管理コストと政治リスクへの備えが必要。
  • ドバイ(UAE):投資額75万AED〜、EU域内移動権なし、税制メリット大、流動性高め。税務上の恩恵を重視する富裕層移住の現実解として機能しやすい。
  • マルタ:投資額60万ユーロ超、EU居住権あり、英語通用、ただし高額化により参入ハードルが上昇。資金規模が大きいほど魅力が増す。
  • マレーシア・タイ・フィリピン:投資額は比較的小さく生活コストも低いが、EU居住権なし。生活の質重視・コスト削減目的なら検討に値する。各国の税務ルールは大きく異なり専門家相談が必須。
  • ラトビア・ハンガリー:EU圏の不動産ゴールデンビザとして制度は存在するが、生活環境・日本人コミュニティの希薄さが現実的なハードルになる。ギリシャより優先度は低い。
  • スペイン:不動産ルート廃止済み。スタートアップビザや就労ビザなど非不動産ルートへの転換が必要で、投資移住という観点では代替性は低い。
  • ポルトガル:不動産ルート廃止後も、ファンド投資(30万ユーロ以上)やスタートアップ創業ルートは残存。完全に終わったわけではなく、資産規模と目的によっては再検討の余地がある。

私の実務的な結論と、今すぐ取るべきステップ

7か国を比較した私の結論は、「目的を先に確定させてから国を選ぶ」という当たり前に見えて実行されていない原則に帰着します。節税が主目的ならドバイ、EU居住権が必要なら現時点ではギリシャ、生活コストの最適化が目的ならアジア圏という軸で整理すると、選択肢は自然に絞られます。

私自身、AFP資格を持つ立場として資産形成の全体最適を考えると、どの国も「唯一の正解」ではなく「複数の拠点戦略の一部」として位置づけることが重要だと考えています。東京での法人経営を維持しながら、フィリピンの不動産・ドバイの税制・東南アジアの生活コストを組み合わせるというアプローチは、私が実際に設計中のモデルです。

ただし、海外法人設立・移住ビザ取得・税務上の居住者変更は、それぞれ専門的な手続きを伴います。特に日本の税法との整合性については、税理士・弁護士への事前相談なしに動くことはお勧めしません。ドバイへの移住や海外法人設立を具体的に検討しているなら、まず専門サポートで全体像を把握することを優先してください。

ドバイ移住・海外法人設立サポート GVA法人登記

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。

タイトルとURLをコピーしました