ベトナム不動産への関心が、2025年以降さらに高まっています。AFP・宅建士として資産相談を多数担当してきた私、Christopherが、外国人購入規制の実態・3都市別の利回り水準・送金と税務の壁・出口戦略まで、2027年を見据えた5論点で検証します。フィリピンでプレセールコンドミニアムを購入した経験も踏まえ、隣国ベトナムとの比較を交えながら、現実的な視点でお伝えします。
ベトナム投資の現状と魅力——2027年に向けて何が変わるのか
経済成長と不動産市場の現在地
ベトナムのGDP成長率は近年6〜7%台で推移しており、東南アジアの中でも安定した成長軌道を描いています。ホーチミン市とハノイを中心に都市化が加速し、中間所得層の拡大が住宅需要を下支えしている構図です。
特にホーチミン投資の観点では、ビンタン区やトゥードゥック市などの新興開発エリアで、2020年代に入ってから大型インフラ整備が続いています。メトロ1号線の延伸計画など、交通インフラの整備が不動産価格の底上げに寄与すると考えられています。
一方、2022〜2023年にかけて国内デベロッパーの資金難問題が表面化し、工期遅延や竣工リスクが現地市場でも広く認識されるようになりました。海外不動産2027を語る上で、こうした「市場のひずみ」を無視することはできません。
外国人に開かれた市場——ただし条件は厳しい
ベトナムは2015年の住宅法改正により、外国人・外国法人が住宅を購入できるようになりました。しかし「開放された」と言っても、条件は非常に限定的です。外国人が購入できる物件はコンドミニアム(区分所有マンション)が中心で、土地所有権は認められていません。
取得できるのは「使用権(50年・更新可)」であり、日本の所有権とは本質的に異なります。この点は宅建士の立場から強調したい部分です。日本の宅建業法では土地・建物の所有権を前提とした制度設計がなされていますが、ベトナムの外国人向け物件はその前提が異なります。購入を検討する際は、現地法律の専門家への相談を強くお勧めします。
外国人購入規制30%枠の壁——制度の実態と抜け穴への注意
30%ルールの具体的な意味と影響
ベトナムの外国人購入規制で特に知っておくべきなのが「30%ルール」です。一つのコンドミニアム棟(または一定区画のタウンハウスプロジェクト)において、外国人が所有できる戸数の上限が全体の30%に制限されています。
この規制が投資家にとって意味するのは、人気プロジェクトでは外国人枠がすぐに埋まってしまうという現実です。私がフィリピンのオルティガスでプレセールコンドミニアムを購入した際にも、海外投資家向けの購入枠に関する制限が存在しました。ベトナムの30%ルールはそれよりさらに厳格で、購入後の転売時にも外国人バイヤーを探す難しさが増します。
仮に外国人枠が既に30%に達しているプロジェクトの物件を購入しようとすると、事実上その物件は外国人には売れなくなります。出口戦略を考えた場合、これは看過できないリスクです。
規制回避策の落とし穴と法的リスク
現地のエージェントやデベロッパーの営業担当者から「ベトナム人名義で購入すれば問題ない」という話を持ちかけられることがあります。しかしこれは、ベトナムの法律に照らして非常に危険な行為です。名義貸しは現地法で違法とみなされる可能性があり、資産が保全されない事態につながるリスクがあります。
保険代理店時代に富裕層の資産相談を担当していた経験から言うと、「グレーな抜け穴」を使って海外資産を形成しようとするケースは、後になって深刻なトラブルに発展することが少なくありませんでした。ベトナム不動産に限らず、外国人購入規制を迂回するスキームは、法律上・税務上の両面で専門家の確認が不可欠です。海外送金や現地の税務については、国によって異なりますので、必ず専門家にご相談ください。
3都市別の利回り実例比較——ホーチミン・ハノイ・ダナンの現実
ホーチミンとハノイ——価格上昇と利回り圧縮の現状
ホーチミン投資を検討する場合、まず認識すべきは「利回りが以前より下がっている」という事実です。2019〜2020年頃には表面利回り6〜8%を提示するプロジェクトも珍しくありませんでしたが、2024〜2025年時点では新築コンドミニアムの表面利回りは4〜6%程度に圧縮されているケースが多く見られます。
ハノイも同様の傾向で、都心部の高級コンドミニアムでは購入価格の上昇により、賃料水準が価格上昇に追いついていない状況です。ただし、ローカルエリアや新興開発地区では、賃料需要が旺盛な場所もあります。利回りの数字は「表面利回り」であり、管理費・修繕積立・空室リスク・税金を控除した「実質利回り」はさらに下がると見ておくべきです。
ダナン利回り——リゾート需要と季節変動リスク
ダナン利回りについては、短期賃貸(エアビーアンドビー等)との相性が注目されています。ダナンは中部ベトナムの観光都市として国際的な知名度が上がっており、特にリゾートコンドミニアムの短期賃貸需要は底堅いと考えられます。
一部のプロジェクトでは表面利回り7〜9%を謳う案件も存在しますが、これは観光シーズンのピーク時を前提にした数字であることが多く、オフシーズンの稼働率低下や台風・天候リスクも考慮が必要です。私自身、ハワイの主要リゾートでマリオット系タイムシェアを所有していますが、リゾート型不動産の収益は季節変動の影響を受けやすく、年間を通じた平均稼働率で収支を考える必要があると実感しています。
ダナンに関しては、現地の外国人向け物件市場がホーチミンやハノイより規模が小さいため、換金性(流動性)の低さも頭に入れておく必要があります。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
私が直面した送金と税務の壁——実務で見えた盲点
海外送金の現実——ベトナムは特に注意が必要な国
フィリピンのオルティガスでプレセールコンドミニアムを購入した際、私は海外送金の手続きに想定以上の時間とコストがかかることを実感しました。ベトナムはフィリピン以上に外貨管理が厳格で、購入資金の送金・賃料収入の国外送金・売却代金の回収に、現地規制への対応が求められます。
具体的には、ベトナムへの外貨持ち込みや送金には申告義務があり、一定金額以上の送金には書類提出が伴います。賃料収入をベトナム国外に送金する際も、現地銀行の口座開設や税務手続きが必要です。これらの手続きを無視すると、資金が実質的に「ベトナム国内に閉じ込められる」リスクがあります。海外送金・税務は国によって異なりますので、専門家への相談を強くお勧めします。
日本側の税務——確定申告と外国税額控除の落とし穴
AFP・宅建士として資産相談を担当してきた経験から言うと、海外不動産の日本側税務を軽視している投資家は少なくありません。ベトナムで賃料収入を得た場合、日本の居住者であれば原則として日本でも確定申告が必要です。
ベトナムで源泉徴収された税金は、日本の確定申告で外国税額控除を使うことで二重課税を一定程度防ぐことができます。ただし、控除できる範囲には上限があり、ベトナムの税率と日本の税率の差分は日本側で追加納税が発生する場合もあります。保険代理店時代に担当した富裕層のお客様の中にも、この「追加納税」を想定していなかったために収支計画が狂ったケースがありました。海外不動産投資を検討する際は、日本の税務署や国際税務に詳しい税理士への事前相談が不可欠です。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
出口戦略と為替リスク対策——2027年に向けた私の判断軸
ベトナムドンの為替リスクとヘッジの現実
ベトナム不動産への投資は、ベトナムドン(VND)建ての資産を持つことを意味します。VNDは米ドルに対して緩やかな下落傾向が続いており、2014年から2024年の10年間でドルに対して約15〜20%程度の減価が見られます。
日本円との関係では、円安局面ではVND建て資産の円換算価値が目減りするリスクがあります。一方、円高になればVND資産の相対的な価値は上がる側面もありますが、為替リスクを完全に除去する手段はありません。ハワイのタイムシェアを米ドル建てで管理している私の経験からも、為替変動が実質的な収益に与える影響は軽視できないと考えています。為替リスクについては必ず自身のリスク許容度と照らし合わせてください。
売却時の出口——外国人バイヤーの少なさが最大の課題
海外不動産2027を考える上で、私が特に重視するのは「出口の想定」です。ベトナム不動産を売却する際、買い手となり得るのは①ベトナム人②外国人(30%枠内)③外国法人の三者ですが、流動性はフィリピンのマニラ中心部と比べても限定的だと感じています。
特にダナンやハノイ郊外のリゾート系物件は、国内需要が主な受け皿となるため、外国人投資家が「いつでも換金できる」とは言いにくい状況です。プレセール段階で購入して竣工後に転売するキャピタルゲイン狙いの戦略は、30%ルールや流動性の問題からハードルが上がっています。長期保有を前提に、賃料収入でランニングコストをカバーしながら数年単位で保有する方針が、現時点では現実的な選択肢の一つと考えます。個人差がありますので、ご自身の資産状況や目標に応じて判断してください。
まとめ——2027年のベトナム不動産、私が導いた5つの論点整理と次のアクション
5論点の要点整理
- 論点①:市場の現状——ベトナムは経済成長が続く一方、デベロッパーリスクと工期遅延が現実問題として存在する。外国人の所有権は「50年使用権」であり、日本の所有権とは異なる。
- 論点②:30%購入規制——外国人枠が埋まったプロジェクトでは転売が極めて困難になる。名義貸し等の規制回避は法的リスクが高く、専門家確認が必須。
- 論点③:利回りの現実——ホーチミン・ハノイの表面利回りは4〜6%に圧縮。ダナンはリゾート需要があるが季節変動と流動性リスクを伴う。実質利回りは表面利回りより低くなる点を前提に計画すること。
- 論点④:送金・税務の壁——ベトナムの外貨管理規制と日本の確定申告(外国税額控除含む)の両方を把握した上で収支計画を立てる必要がある。国際税務の専門家への相談が不可欠。
- 論点⑤:出口戦略と為替——VND建て資産は為替リスクを伴う。外国人バイヤーの少なさから流動性が低く、長期保有を前提としたキャッシュフロー重視の戦略が現実的な方向性の一つ。
不動産トラブルを未然に防ぐために——次のアクション
ベトナム不動産を含む海外不動産投資では、購入前・保有中・売却時の各フェーズで「想定外のトラブル」が発生することがあります。私自身、フィリピンのプレセール購入時に契約書の解釈をめぐって現地デベロッパーと交渉を要する場面がありました。そのとき痛感したのは、「専門的な第三者の目を事前に入れる重要性」です。
国内の不動産であっても、購入・売却時のトラブルは後を絶ちません。まず国内の物件について、公平な査定や専門家によるセカンドオピニオンを得る習慣をつけておくことが、海外不動産にも応用できる判断力を養う第一歩だと考えます。一般社団法人が提供する公平な不動産査定サービスは、そうした「中立的な視点」を得る手段として検討する価値があります。
本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断は個人差がありますので、必ず専門家への相談の上、ご自身の責任でご判断ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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