ベトナム比較で選ぶ海外不動産|宅建士が3都市実査した7軸2027

ベトナム比較で海外不動産の投資先を絞り込もうとしている方は多いですが、ホーチミン・ハノイ・ダナンの3都市を実際に歩いたうえで語れる日本人は多くありません。AFP・宅建士として海外不動産の相談を500件以上受けてきた私が、2024年に3都市を現地視察し、利回り・外国人購入規制・出口戦略など7つの軸で徹底比較した結果をここに公開します。

ベトナム3都市比較の前提|外国人が知るべき基本ルール

2015年改正住宅法がすべての起点になる

ベトナムで外国人が不動産を購入できるようになったのは、2015年の住宅法改正がきっかけです。それ以前は原則として外国人の不動産取得は認められていませんでした。改正後は「区分所有権の50年保有(更新可)」という形で外国人にも門戸が開かれましたが、日本の不動産とは根本的に異なる仕組みです。

宅建士として日本の不動産取引を扱う立場から言うと、ベトナムの「所有権」は日本の「所有権」と法的性格が大きく異なります。土地はあくまで国家所有で、個人や法人が持つのは「使用権」です。この前提を理解せずに購入すると、出口戦略で想定外の壁にぶつかります。なお、海外不動産は日本の宅建業法の適用対象外ですが、法制度の違いを把握することはリスク管理の基本です。

ホーチミン・ハノイ・ダナンで異なる「市場の成熟度」

3都市を比較する際、私が特に注目するのは市場の成熟度です。ホーチミン(旧サイゴン)は経済首都として外国人投資家の流入が早く、コンドミニアムの取引量・流動性ともに高水準です。一方でハノイは政治・行政の中心地として国内需要が安定しており、価格変動が比較的穏やかです。ダナンはリゾート色が強く、観光需要に連動した賃料変動リスクを内包しています。

この3都市を同列で語ること自体がすでに間違いで、目的(賃貸収益か値上がり益か)によって選ぶ都市は変わります。私が現地を歩いたうえで感じたのは、「ホーチミンの開発速度はフィリピン・オルティガスに近い熱量がある」という点です。プレセールで購入したフィリピンの物件と街の雰囲気が重なり、デジャブのような感覚がありました。

私が現地視察で確認した利回りと価格推移の実例

フィリピン保有経験と重ねて見えたホーチミンのリアル

私はマニラの新興エリアでプレセールコンドミニアムを保有していますが、購入時の表面利回りの想定値は年6〜8%のレンジでした。現地の管理会社から得た数字とは別に、実際の入居率・管理コスト・空室期間を加味した実質利回りは、表面から1.5〜2ポイント程度低下するのが現実です。

ホーチミンのコンドミニアムについて、2024年の現地視察時に複数のエージェントから聞いた表面利回りは年5〜7%が多かったです。物件グレードや立地によりますが、ビンホームズが開発するような大型複合施設では4〜5%台、中心部から離れたエリアでは6〜7%台という説明でした。フィリピンで実際に運用している経験から言うと、現地エージェントが提示する利回り数字は「満室想定」であることが多く、空室リスクと管理費を引いた後の実質値で比較することが重要です。個人差があるため、必ず現地の実績データと照合してください。

ハノイとダナンの価格推移を現地で確かめた

ハノイでは中心部(ホアンキエム区・バーディン区周辺)のコンドミニアム価格が2020年比で20〜30%程度上昇しているというデータを複数のエージェントから確認しました。ただし、2023〜2024年にかけてベトナム全体で不動産市場が一時的に冷え込んだ時期があり、取引量が大幅に減少した局面もありました。「上昇傾向にある」という表現は正しいですが、一本調子の右肩上がりではありません。

ダナンは2026年前後のリゾート開発ラッシュを見越した価格設定が目立ちます。ビーチ沿いの物件で坪単価(換算)が日本円で100〜150万円程度という案件も出てきています。観光需要に依存した賃料収入は、コロナ禍のような外部ショックで急落するリスクを内包しています。ハワイのタイムシェアを運用する中で、観光地不動産の需要変動の怖さを実感した経験があるので、ダナンには慎重な姿勢で臨むべきだと考えます。

外国人購入規制の壁|3都市で異なる現実的な障壁

「30%ルール」が外国人投資家に与える流動性リスク

ベトナムの外国人購入規制で見落とされがちなのが、一棟のコンドミニアムにおける「外国人保有比率の上限30%」というルールです。これはプロジェクト全体の住戸数のうち外国人が保有できる割合が30%に制限されるもので、人気物件では外国人向け枠がすぐに埋まります。

逆に言えば、外国人枠が埋まった後は外国人同士での売買しかできないため、出口戦略の選択肢が狭まります。現地で聞いた話では「外国人枠満杯の物件は買い手をベトナム人まで広げられないので、売りたくても売れない状態が続いた」という事例も複数ありました。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版 フィリピンでも外国人の区分所有比率上限(40%)という似た規制があり、購入前に必ず残存枠を確認することが鉄則です。

50年所有権の更新可否と都市別リスク

外国人が取得できる50年の所有権(使用権)については、「更新可」とされていますが、実際に50年後の更新が問題なく行われるかどうかは2024年時点では制度上の保証が明確ではありません。これはフィリピンのコンドミニアム所有権(永久所有が可能)と比較したときの明確な差異です。

都市別に見ると、ホーチミンは外国人投資家の数が多い分、法的整備の事例も豊富です。ハノイは政府機関が集中しているため制度変更の影響を受けやすいとも言われます。ダナンはリゾート特区としての法的扱いが他2都市と一部異なります。いずれの都市でも、海外送金や税務については「国によって異なる」ため、現地の法律事務所と日本の税理士双方への相談を強くお勧めします。

出口戦略・税制・送金リスクを7つの視点で比較

利回り・流動性・規制・税制・送金・為替・管理コストの7軸採点

私が海外不動産を比較する際に使うフレームワークは7つの軸です。以下にベトナム3都市を整理します。

  • ①表面利回り:ホーチミン5〜7%、ハノイ4〜6%、ダナン5〜8%(観光需要次第)
  • ②市場流動性:ホーチミンが高、ハノイが中、ダナンが低〜中
  • ③外国人購入規制:3都市共通で30%上限ルールあり、50年所有権
  • ④税制:譲渡益への課税率は取得原価が証明できない場合に売却額の2%が課税されるケースあり(2024年現地確認)
  • ⑤海外送金:賃料収益・売却益の日本への送金は現地銀行口座の開設と証憑書類が必要。手続きの煩雑さは要注意
  • ⑥為替リスク:ベトナムドン(VND)は対円で長期的な下落傾向があり、円換算の収益に影響します。為替リスクを必ず考慮してください
  • ⑦管理コスト:現地管理会社の手数料は賃料の8〜15%が一般的。日系管理会社は割高だが日本語対応というメリットがあります

この7軸で総合的に見ると、ホーチミンが流動性と利回りのバランスで優位に立ちます。ただし、これは「ホーチミンを買うべき」という意味ではなく、あなたの目的・資金規模・リスク許容度によって選択肢は変わります。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例

私が現地で見た失敗例と回避法

保険代理店時代に富裕層の資産相談を多数担当した経験から言うと、海外不動産の失敗はたいてい「出口を考えずに入口だけで決めた」ケースに集中します。ベトナムで実際に聞いた失敗事例をいくつか紹介します。

一つ目は「完成前のプレセール物件を購入したが、デベロッパーが工期を2年以上延長し、入居・賃貸開始が大幅に遅れた」というケースです。フィリピンでプレセールを購入した私も工期延長は経験しており、これはベトナムに限らないリスクです。ただしベトナムでは日本のような完成保証制度が整備されていないため、デベロッパーの財務健全性の確認が欠かせません。

二つ目は「賃料収益をそのまま現地に置いておいたら、日本への送金手続きで税務証憑が足りず数ヶ月かかった」というケースです。海外送金・税務は専門家への相談が不可欠で、日本側でも確定申告に海外所得を正確に申告する義務があります。個人の税務状況によって異なるため、必ず税理士に確認してください。

7軸採点と最終選定法|あなたに合った都市の選び方

目的別・リスク許容度別の都市選択マトリクス

  • 賃貸収益を安定的に得たい方:ホーチミンの中心部コンドミニアムが選択肢の一つ。流動性が高く、外国人需要(駐在員・観光客)も厚い
  • 値上がり益を狙いたい方:ハノイの新興エリアが検討する価値がある。ただし流動性が低い分、長期保有前提が基本
  • リゾート物件でバケーション兼収益を狙う方:ダナンが候補に入るが、観光需要の変動リスクと流動性の低さを十分に理解したうえで判断が必要
  • 初めての海外不動産の方:まずフィリピン等、外国人所有権が永久で制度が整備された市場で経験を積むことも有力な選択肢
  • 税務・送金の手間を最小化したい方:日系管理会社のカバー範囲と日本語対応可能な現地弁護士の確保を先に確認することが重要

どの都市を選ぶにしても、為替リスク・外国人購入規制・50年所有権の性質・送金手続きの煩雑さは共通のリスクとして存在します。これらを「理解したうえで許容できるか」を自問することが、海外不動産選定の核心です。

不動産トラブルを未然に防ぐために今すぐ動くべきこと

私がAFP・宅建士として海外不動産の相談を受ける中で、「購入後にトラブルになってから相談に来る」ケースが少なくありません。ベトナムに限らず、海外不動産は現地法律・税制・送金規制の複合リスクを抱えています。日本の宅建業法が適用されない分、自衛のための情報収集と専門家活用が重要です。

特に、すでに海外不動産を保有していて「売却できない」「賃料が送金できない」「デベロッパーとトラブルになっている」という状況に直面している方は、専門の相談窓口を活用することが選択肢の一つです。一般社団法人が提供する公平な査定・相談サービスは、営利目的に偏らない情報提供が期待でき、現状把握の入口として活用する価値があります。

【一般社団法人が提供する公平な不動産査定】トラブル解決協会

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。

タイトルとURLをコピーしました