ベトナム不動産投資事例7選|宅建士が現地視察で検証した成功と失敗の分岐点

ベトナム不動産投資の事例を調べると、「成功した」という声と「思ったより難しかった」という声が混在していることに気づくはずです。AFP・宅地建物取引士として海外不動産を複数保有している私が、現地視察で確認した7つの事例をもとに、成功と失敗を分ける本質的な分岐点を実務視点で解説します。為替リスクや外国人保有制限といった見落としがちなポイントも、包み隠さずお伝えします。

ベトナム不動産投資事例の全体像と市場背景

2020年代のベトナム市場を数字で読む

ベトナムの名目GDPは2023年時点で約4,300億ドルに達し、ASEANの中で着実に存在感を高めています。ホーチミン市の人口は公式統計で約900万人、実態は1,300万人超とも言われており、都市化に伴う住宅需要は継続的に拡大しています。

私が現地を訪れた際に不動産エージェントや現地在住の日本人投資家と話して感じたのは、「価格上昇は本物だが、エリアと物件種別によって格差が大きい」という現実でした。同じホーチミン市内でも、District 1の高級コンドミニアムと郊外の新興エリアでは、賃貸需要の厚みがまったく異なります。

外国人によるベトナム不動産の購入は、2015年の住宅法改正によって一定条件のもとで認められましたが、「外国人保有制限」として1棟あたりの外国人オーナー比率30%上限という規定が今も存在します。この上限に達したマンションは、外国人への転売が事実上困難になる点を見落としているケースが散見されます。

利回り3〜7%の実態と事例の分類

ベトナム不動産投資の表面利回りは、物件資料では5〜8%と記載されることが多いです。ただし、実際に現地で確認すると、管理費・修繕積立金・所得税(個人の賃貸所得には5%の課税)・空室期間を考慮した実質利回りは3〜6%前後に落ち着くケースが一般的です。

今回取り上げる7つの事例は、「ホーチミン高層コンドミニアム系(事例1〜3)」「ハノイ新興エリア系(事例4〜5)」「ダナン民泊・短期賃貸系(事例6〜7)」の3グループに分類できます。それぞれ投資環境もリスクの性質も異なるため、一括りで比較するのは危険です。

フィリピン購入経験が教えてくれたプレセールの落とし穴

私がマニラのプレセールで学んだ「竣工リスク」の重さ

私はフィリピン・オルティガスエリアのプレセールコンドミニアムを所有しています。購入を決断したのは竣工3年前で、当時の購入価格は約700万円相当(ペソ建て)でした。プレセールの魅力は、竣工後より割安な価格で購入できる点にありますが、同時に竣工遅延リスクと為替リスクを長期間抱えることになります。

実際、私の物件は当初の竣工予定から約1年遅延しました。賃貸収入がゼロの状態でローン支払いが続く期間が想定外に延びた経験は、ベトナムのプレセール案件を検討する際の重要な参照軸になっています。ベトナムでも同様の遅延事例は複数報告されており、特にホーチミン郊外の大規模開発プロジェクトで顕在化しています。

保険代理店時代の富裕層相談が教えた「出口戦略」の重要性

大手生命保険会社に2年、その後総合保険代理店に3年勤務した経験の中で、個人事業主や富裕層の資産相談を数多く担当しました。その中で印象的だったのは、「購入時に出口戦略を考えていない」という共通点を持つ相談者が非常に多かったことです。

ベトナム不動産に限らず、海外不動産の売却は「誰に売るか」の問題が国内物件より複雑です。外国人保有制限の枠が埋まった物件は、外国人バイヤーへの売却ができません。ベトナム人富裕層への売却ルートを最初から確保しているかどうかが、出口戦略の成否を大きく左右します。この視点を持って7事例を読んでいただくと、成功事例と失敗事例の違いがより鮮明に見えてくるはずです。

ホーチミン コンドミニアム3事例の検証

事例1〜3:District 2・7・郊外の明暗

事例1は、ホーチミン市District 2(現在のThu Duc市)の高層コンドミニアムで、2018年頃に約1,500万円相当(USD建て)で購入した日本人投資家の例です。外資系企業の駐在員需要が厚いエリアで、月額賃料は約15〜18万円相当を維持し、実質利回りは約4.5〜5%で推移しているとのことでした。成功要因は、外国人需要が旺盛なエリア選定と、信頼できる現地管理会社の存在です。

事例2は、District 7のコンドミニアムで同じく約1,200万円相当で購入したケースです。こちらは韓国系コミュニティが集中するエリアで、当初は高い需要が見込まれていました。しかし2022年以降、コロナ禍の影響でコミュニティが縮小し、空室期間が年間3〜4か月に増加。年間実質利回りが3%を下回る局面もあり、「特定コミュニティ需要への過度な依存」が落とし穴になったケースです。

事例3は郊外の大規模開発プロジェクトで、竣工遅延が2年超に達した失敗事例です。購入価格800万円相当に対して、現地デベロッパーの財務悪化による工事中断が発生。売却しようにも買い手がつかず、法的手続きに移行するという最悪の展開になりました。ベトナムでは日本のような不動産登記制度が整備途上にあり、所有権の主張に必要な書類(ピンクブック)取得が遅延するリスクも現実に存在します。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版

ホーチミン投資で見えた3つの分岐点

3事例を並べると、成否を分ける分岐点が3つに集約されます。第一に「デベロッパーの財務健全性」、第二に「賃貸需要の多様性(特定コミュニティ依存を避ける)」、第三に「所有権書類(ピンクブック)の取得タイムライン」です。

宅建士として日本の不動産取引に携わってきた経験から言うと、日本では登記制度が整備されているために当たり前に守られている所有権の安全性が、ベトナムでは「当たり前でない」場合があります。海外不動産は日本の宅建業法の適用外であることを明示した上で、現地の法律専門家(弁護士)への相談を強くお勧めします。なお、税務上の取り扱いは日越間の租税条約および日本の確定申告ルールに従う必要があるため、必ず専門家に相談してください。

ハノイ 不動産とダナン 民泊:事例4〜7の実態

ハノイ新興エリア2事例:「開発前夜」の甘い罠

事例4は、ハノイ西部の新興開発エリアで約900万円相当のコンドミニアムを取得したケースです。「5年後に価格が2倍になる可能性がある」という現地エージェントの説明に期待が高まりましたが、実際には周辺インフラの整備が大幅に遅れ、2024年時点でも賃貸需要が想定の半分以下にとどまっています。投資判断の根拠となった開発計画が、現地行政の方針変更で変わってしまったことが主因です。

事例5はハノイ市内中心部に近いエリアでの成功事例で、購入価格約1,100万円相当に対し、日系・欧米系企業の駐在員向け賃貸で年間実質利回り約5〜6%を継続できています。ポイントは「すでに賃貸需要が確認されているエリアへの投資」という原則に忠実だった点です。新興エリアの「将来性」に賭けるのではなく、現状の賃貸需要を現地視察で確認してから購入判断をしたことが奏功しました。

ダナン民泊2事例:利回り7%の現実と観光需要の波

事例6は、ダナン市内のビーチ近接エリアで約800万円相当のコンドミニアムをAirbnb等の短期賃貸で運用したケースです。2019年以前は観光客需要が旺盛で、月によっては稼働率80%超・年間利回り7%近くを実現していたとのことです。ただし2020〜2022年のコロナ禍で稼働率が急落し、収入がほぼゼロになった期間が約2年続きました。

事例7は、ダナン民泊の後発参入ケースで、2022年以降に約700万円相当で購入し現在運用中の事例です。観光需要の回復により、2023〜2024年の稼働率は60〜70%程度まで戻っていますが、競合物件の増加により賃料単価が2019年水準に戻っていないという課題が残っています。私自身、東京でインバウンド民泊事業を運営している立場から言うと、短期賃貸は景気・観光需要・規制変更の影響を長期賃貸より強く受けるため、収入変動リスクへの備えが欠かせません。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例

宅建士が選ぶ7基準と出口戦略:まとめとCTA

ベトナム不動産投資で押さえるべき7つの確認基準

  • デベロッパーの財務健全性と施工実績:過去の竣工物件数・遅延実績を現地で調査する
  • 外国人保有比率の現状確認:購入時点で30%枠の残余がどれくらいあるかを必ず確認する
  • 所有権書類(ピンクブック)の取得見込みと取得実績:既存棟での取得状況をエビデンスで確認する
  • 賃貸需要の多様性:特定国コミュニティや観光客のみに依存しない需要構造を確認する
  • 現地管理会社の実績と連絡体制:日本語対応の可否だけでなく、修繕対応・入居者トラブル対応の実績を問い合わせる
  • 為替リスクの許容度:VND(ベトナムドン)はUSDに準ペッグされているが、円安・円高局面でのキャッシュフロー変動を事前にシミュレーションする
  • 出口戦略の具体性:外国人への転売ルート・ベトナム人富裕層への売却ルートを購入前に想定しておく

トラブルが起きる前に動くことが海外不動産の鉄則

7つの事例を通じて一貫して見えてきたのは、「問題が顕在化してから動いた投資家」ほど損失が大きくなるという事実です。竣工遅延、空室長期化、所有権書類の未取得、これらはいずれも「早期に専門家へ相談・交渉していれば回避または軽減できた」ケースが含まれています。

ベトナム不動産に限らず、海外不動産のトラブルは「現地法・日本法・税法」が複雑に絡み合うため、個人で対処しようとすると判断ミスが起きやすいです。AFP・宅建士として資産相談を担当してきた立場から、第三者機関による公平な査定と専門家への早期相談を強くお勧めします。個人差はありますが、早めの行動が選択肢の幅を確実に広げます。

海外不動産の現状評価や売却・保有継続の判断に迷っている方は、まず公平な立場からの査定・相談を受けてみることを検討してみてください。

【一般社団法人が提供する公平な不動産査定】トラブル解決協会

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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