ベトナム不動産のメリットデメリットを、表面利回りの数字だけで判断していませんか。AFP・宅地建物取引士のChristopherです。私はフィリピン・オルティガスでプレセールコンドミニアムを購入した経験から、東南アジア不動産の「見えにくいリスク」を痛感しています。この記事では、ホーチミン・ハノイ・ダナンの3都市を7つの視点で実地検証し、外国人所有制限から利回り実例、フィリピンとの比較軸まで、2027年版として整理します。
ベトナム不動産が持つ7つのメリットを視点別に整理する
経済成長と若い人口構造が生む需要の底堅さ
ベトナムのGDP成長率は2023年に約5.0%、2024年には約6.4%と回復し、東南アジアの中でも安定した上昇傾向にある国の一つです。人口は約1億人、平均年齢は30歳台前半と若く、都市部への流入が続いています。
ホーチミンの人口は公式統計で約900万人ですが、実態は周辺省を含めると1,300万人を超えるとも言われます。この都市化圧力が、コンドミニアム需要を下支えしているのは事実です。私が保険代理店に在籍していた頃、富裕層のお客様から「ベトナムは人口ボーナスが長く続く」という話を何度も聞きました。当時はピンときませんでしたが、今は実感として理解できます。
海外不動産 利回りとして6〜8%台が視野に入るコスト水準
ホーチミン中心部のコンドミニアムは、2024年時点で1戸あたり1,500万〜3,500万円台のものが流通しています。表面利回りは立地・グレードによって5〜8%台が見られ、新興エリアでは8%を超える数字を提示するデベロッパーもあります。
ただし、この利回りはあくまで「想定」であり、空室リスク・管理費・修繕積立・為替変動を考慮した実質利回りは2〜3ポイント下がるのが一般的です。私がフィリピン・オルティガスのプレセール物件を購入した際も、提示された利回りと実際の手取りには相応のギャップがありました。この点はベトナム不動産投資においても同様です。
外国人所有の50年制限と法制度リスクを宅建士視点で読む
2015年住宅法改正が外国人に開いた「扉」の中身
ベトナムでは2015年の住宅法改正により、外国人および外国法人がコンドミニアムを購入・所有できるようになりました。ただし、この「所有」は日本の不動産所有権とは性質が異なります。
外国人が取得できるのは「50年間の使用権」であり、土地そのものの所有はベトナム国家に帰属します。50年後の更新については「申請により延長可能」とされていますが、更新が保証された法的根拠は現時点では薄く、将来の制度変更リスクを抱えています。宅建士として言うと、日本では考えられない「期限付き所有権」です。この構造は必ずリスクとして理解した上で検討してください。
外国人所有制限——コンドミニアム棟ごとの30%上限の現実
もう一つの制限が、1棟のコンドミニアムにおける外国人所有比率の上限30%ルールです。人気物件では外国人枠がすでに埋まっているケースもあり、購入タイミングによっては希望の物件を取得できないことがあります。
また、外国人所有制限が緩和されたとはいえ、土地に関連する戸建て・タウンハウスへの外国人の所有権は依然として厳しく制限されています。コンドミニアム以外の物件を検討する場合は、現地の弁護士への相談が不可欠です。海外不動産は日本の宅建業法の適用外であり、日本国内の感覚でのみ判断すると痛い目に遭います。
ホーチミン・ハノイ・ダナン——3都市の利回り実例と相場差
ホーチミン中心部と郊外では価格帯が倍近く異なる
ホーチミンの1区・3区といった中心部のコンドミニアムは、㎡単価が3,000〜5,000ドル台に達するものも珍しくなく、2024年には5,000ドルを超えるプロジェクトも登場しています。一方、2区・9区などの郊外エリアでは1,500〜2,500ドル台が主流で、価格差は2倍以上になることがあります。
表面利回りは中心部で5〜6%台、郊外の新興エリアで6〜8%台が目安です。郊外のほうが利回りは高く見えますが、賃貸需要の厚みは中心部に及びません。インフラ整備の進捗次第で価値が大きく変わる点も、リスクとして認識しておくべきです。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
ダナン プレビルドの現状——リゾート需要と価格上昇の期待と落とし穴
ダナンは観光都市として成長が続き、プレビルド(竣工前)物件が多数供給されています。2022〜2023年にかけて外国人観光客の急回復を受け、リゾート型コンドミニアムの問い合わせが増えた経緯があります。
ただし、ダナンのプレビルド物件にはいくつかの注意点があります。まず、供給過多のエリアでは竣工後の賃料が想定を下回るリスクがあります。また、開発業者の財務基盤が弱い場合、工期遅延や計画変更が起きる可能性もあります。私がフィリピンでプレセール物件を購入した際に、現地弁護士を使って契約書を精査したのも、こうしたリスクを事前に洗い出すためでした。ベトナムでも同様のアプローチを強く推奨します。
宅建士が見たベトナム不動産5つのデメリットと比較判断軸
フィリピン3,500万円物件と比べた時の構造的な違い
私が所有するフィリピン・オルティガスのコンドミニアムは、プレセール時の購入価格が約3,500万円台です。フィリピンでは、コンドミニアムの区分所有権(コンドミニアム法に基づく)を外国人が取得できる仕組みが整っており、ベトナムの「50年使用権」とは法的性質が異なります。
ベトナムとフィリピンを比べる際に私が特に重視するのは次の3点です。①所有権の法的安定性、②出口(売却)時の流動性、③送金規制の透明性。ベトナムは経済成長への期待は大きいものの、外国人向けの法制度がフィリピンより整備途上である点は否定できません。どちらが「良い」という断定はできませんが、リスク許容度と投資期間によって判断軸は変わります。
為替・送金・税務リスクは専門家なしで乗り越えられない
ベトナムドン(VND)は対円で長期的に下落傾向にあります。2015年頃に比べ、円建てで見た際の資産価値は為替だけで10〜15%程度目減りしている局面もありました。海外不動産である以上、為替リスクは切り離せません。
また、ベトナムからの海外送金には外国為替管理法が絡み、手続きが複雑です。売却益の送金が想定より時間がかかるケースも報告されています。税務面でも、ベトナムでの不動産売却益・賃料収入に対するベトナム国内課税と、日本での確定申告の二重申告が必要です。課税ルールは日本と異なるため、必ず現地税理士と日本側の税務専門家の両方に相談することを前提に資金計画を立ててください。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
まとめ——ベトナム不動産のメリットデメリットを踏まえた判断軸
7つの視点で整理したチェックリスト
- 【メリット①】GDP成長率6%台・人口ボーナス継続による賃貸需要の底堅さ
- 【メリット②】ホーチミン郊外・ダナンで6〜8%台の表面利回りが視野に入る
- 【メリット③】2015年住宅法改正による外国人の購入機会拡大
- 【メリット④】プレビルドで購入価格を抑えながら竣工後の価格上昇を狙える可能性
- 【デメリット①】外国人所有は50年使用権であり、日本の所有権とは異なる法的性質
- 【デメリット②】コンドミニアム1棟あたりの外国人所有比率30%上限が流動性を制約
- 【デメリット③】ベトナムドンの為替リスク・海外送金規制・二重課税への対応コストが高い
不動産トラブルを未然に防ぐための相談先を持つことが前提
ベトナム不動産のメリットデメリットを整理してきましたが、私が結論として伝えたいのは「情報収集と専門家への相談を同時並行で進める」ことです。海外不動産は日本の宅建業法の枠外にある分、消費者保護の網が薄い世界です。
私自身、フィリピンでプレセール物件を購入する前に、現地弁護士・日本の税理士・現地デベロッパーの財務資料を並べて確認しました。それでも想定外のことは起きます。特に不動産に関わるトラブルは、事前の査定・第三者評価があるだけで交渉力が格段に変わります。
国内外の不動産に関する疑問やトラブルを抱えている方には、一般社団法人による公平な立場からの相談窓口を活用することを検討する価値があります。個人差はありますが、専門機関への早期相談が問題を小さく抑える経験則は、私の実務でも繰り返し確認してきました。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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