AFP・宅地建物取引士として10年近く国内外の不動産に関わってきた経験から言うと、プレセール2026はタイミングとしての意義が大きい局面です。私自身、フィリピン・オルティガスのプレビルドコンドミニアムを約3,500万円相当で購入済みであり、支払いスケジュールの設計から為替リスク管理まで、実務として向き合ってきました。この記事では、その実体験を軸に2026年購入を検討するあなたへ7つの視点を整理します。
プレセール2026市場の全体像
フィリピン不動産市場が2026年に向かう背景
フィリピンのプレセール市場は、2020年代に入って外国人投資家の参入が加速しています。フィリピン統計庁(PSA)のデータでは、マニラ首都圏の新築コンドミニアムの着工数は2023〜2024年にかけて回復基調にあり、2026年を竣工目標とするプロジェクトが複数進行中です。
プレセールとは、建物完成前に契約を結ぶ購入方式です。日本でいう「青田買い」に近いですが、フィリピンでは完成まで3〜5年かかるケースが標準で、その間に分割払いを続ける仕組みになっています。海外不動産の特性として、日本の宅建業法が適用されず、現地のCondominium Actや分譲業者独自の契約条件が適用される点は、プロとして強調しておきたい事実です。
2026年購入が持つ意味とリスクの両面
2026年にプレセールを契約するということは、完成が2029〜2030年になるプロジェクトを選ぶことを意味します。この3〜4年のタイムラグが、プレビルド投資の収益機会でもあり、リスクの源泉でもあります。
収益機会の側面では、完成前に価格上昇が見込まれる局面での仕込みが可能です。一方、フィリピンペソと円の為替変動、現地デベロッパーの信用リスク、そして引渡し遅延という3つのリスクは常に存在します。個人差はありますが、この3点を許容できるかどうかが、2026年購入を判断する際の出発点になります。
私がオルティガスでプレセール物件を購入した理由
オルティガスを選んだ実務的な根拠
私がオルティガスのプレセール物件を選んだのは、BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)やマカティと比較したうえで、価格帯と成長余地のバランスが取りやすいと判断したからです。当時、BGCの同規模ユニットは3,800万〜4,500万円相当、マカティの中心部では4,000万円を超えるプロジェクトが多い中、オルティガスは約3,500万円前後で1LDK〜2LDKクラスのユニットを検討できる価格帯でした。
オルティガスはビジネス地区としての実需があり、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業が集積しているため、賃貸需要の裏付けが比較的明確です。私は大手生命保険会社と総合保険代理店で合計5年間、富裕層の資産形成相談を担当してきましたが、「実需のある立地かどうか」は海外不動産でも国内不動産でも変わらない基本軸だと感じています。
プレセール契約時に確認した7つの項目
実際に契約するとき、私は宅建士の視点から以下の7項目を確認しました。日本の宅建業法に基づく重要事項説明の義務は海外不動産には適用されませんが、同等以上の確認作業を自分で行う必要があります。
- デベロッパーのHLURB(現DHSUD)登録番号の確認
- License to Sell(販売免許)の有効期限
- Contract to Sell の解除条件と手数料
- 引渡し予定日と遅延補償条項の有無
- 管理会社の選定プロセスと管理費の上限設定
- 外国人名義での登記可否(フィリピンはコンド法により外国人は40%枠内で所有可)
- 海外送金の通貨・口座・手数料の取り決め
この確認作業を省くと、後から「聞いていた条件と違う」というトラブルに直結します。海外送金や税務については国によってルールが大きく異なりますので、税理士や現地の弁護士への相談を強く推奨します。
支払いスケジュール7段階と為替の落とし穴
プレビルド特有の分割払い構造を理解する
私が契約したオルティガスの物件は、総支払額をペソ建てで設定し、完成までを7段階に分けた分割払いスキームです。おおまかな構造を示すと、契約時に約10〜15%のダウンペイメント、その後24〜36ヶ月かけて月次分割、完成直前に残金20〜30%というパターンが一般的です。
重要なのは「ペソ建て」という点です。2022年には1ペソ=約2.4円だったものが、2024年には2.6〜2.7円近辺で推移する局面もありました。円安が進むと、同じペソ額の支払いが円換算で膨らみます。私の場合、当初3,500万円と試算していた総支払額が、為替次第で3,700万円を超えうる計算になります。この為替リスクは「ない」とは言えず、向き合って資金計画を立てることが前提です。
金利と機会コストを試算する視点
フィリピンのプレセールでは、ローンを使わずキャッシュで分割払いするケースと、現地銀行のデベロッパーローンを活用するケースがあります。現地のローン金利は2024年時点で年8〜11%前後が目安であり、日本の住宅ローン金利(変動型で年0.4〜1%台)と比べると相当に高水準です。
私は現在、フィリピンへの分割送金とあわせて、国内では株式・ETF・米国REITなどを並行運用しています。機会コストを意識するなら、手元資金を全額フィリピンの分割払いに充てるより、一部を流動性の高い資産に置いておく設計の方が、資産全体のリスク分散として機能しやすいと感じています。この判断は個人の資産状況によって大きく変わりますので、FPや専門家への個別相談をお勧めします。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
引渡し遅延への備えと完成後の利回り試算
遅延リスクに備える3つの実務的アプローチ
フィリピンのプレセール投資で避けられないテーマが引渡し遅延です。業界全体の傾向として、予定通りに引き渡されるプロジェクトは多くなく、6ヶ月〜2年の遅延は珍しくありません。私自身の物件も、当初の引渡し予定から変更が生じており、その経験から備えとして有効な3点を整理します。
- ①遅延補償条項の事前確認:Contract to Sell に「引渡し遅延時のペナルティ条項」が明記されているか確認する。ない場合は交渉の余地があります。
- ②キャッシュフローの複線化:引渡しが遅れると賃料収入が発生しない期間が長くなるため、その間の資金計画を別途用意しておく。私はこの期間を国内の民泊収益でカバーする設計にしています。
- ③現地エージェントとの定期連絡:デベロッパーへの問い合わせを現地エージェントに委ねるだけでなく、自分でも工事進捗を定期確認する習慣が重要です。
これらは経験から得た実務的な視点ですが、契約内容や現地状況は物件によって異なります。必ず専門家に個別状況を確認してください。
完成後の賃料収益はどう試算するか
オルティガスの1LDK〜2LDKクラスのコンドミニアムは、2024年時点で月額賃料が3.5万〜5万ペソ程度が目安です。仮に月4万ペソ(約10.8万円、1ペソ=2.7円換算)を想定し、年間賃料収入が約130万円だとすると、物件価格3,500万円に対するグロス利回りは約3.7%です。
ここから管理費・固定資産税(RPT)・空室リスク・管理代行手数料(一般的に月額賃料の8〜12%)を差し引くと、ネット利回りは2〜3%台に収まる可能性が高いと考えられます。この数字を「高い」と見るか「低い」と見るかは、円建て資産との比較や為替見通し次第です。利回り試算は「現時点の前提条件に基づくシミュレーション」であり、実際の収益を保証するものではありません。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
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プレセール2026を判断する7つの視点
- ①デベロッパーの信用調査:DHSUDの登録・販売免許・過去の竣工実績を必ず調べる
- ②為替シナリオの複数設定:円安・円高・横ばいの3パターンで総支払額を試算しておく
- ③支払い原資の分離:プレセール分割払い用の資金は、生活資金・緊急資金と明確に分ける
- ④引渡し遅延の許容期間を決める:「最大2年遅れても資金計画が崩れないか」を事前に確認する
- ⑤現地税務の把握:フィリピンのキャピタルゲイン税(6%)・VAT・印紙税など、売却時のコストを把握する。課税ルールは日本と異なるため、専門家への相談が不可欠です
- ⑥日本側の税務申告:海外不動産の賃料収入は日本での確定申告対象。税理士との連携を早めに整える
- ⑦出口戦略の設計:「賃貸で保有」「完成後売却」「プレセール段階での転売」の3択を最初から想定しておく
不動産トラブルが起きた時に頼れる窓口も確保しておく
海外不動産のトラブルは、契約解除・デベロッパー倒産・管理費の不正請求など、想定外の形で発生します。私は保険代理店時代から「問題が起きた後に動くより、相談先を先に確保しておく」という姿勢を富裕層のお客さまにもお伝えしてきました。
海外不動産への投資を本格的に進める前に、国内で公平な立場から相談や査定に対応できる窓口を持っておくことは、リスク管理の一環として有効です。一般社団法人という中立的な立場の機関であれば、特定の事業者に偏らないアドバイスが期待できます。専門家への相談を組み合わせながら、プレセール2026への参入可否を冷静に判断してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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