AFP・宅地建物取引士として、そして自らフィリピンとハワイに実物資産を持つ当事者として、私は「海外資産の相続税おすすめ対策2026」を語れる立場にいます。国際相続は国内相続の延長では済まない複雑さがあり、対策を後回しにするほど相続人への負担は膨らみます。この記事では、私が3つの資産を保有するなかで直面した課税論点を軸に、実務で使える7軸の対策を解説します。
海外資産相続税の2026年基本軸――日本居住者は「全世界課税」が原則
日本の相続税は「無制限納税義務者」制度で海外資産もすべて対象になる
2026年時点でも、日本に住所を持つ相続人・被相続人が関わる相続には、日本の相続税法が全世界の財産に及びます。フィリピンのコンドミニアムであれ、ハワイのタイムシェア持分であれ、被相続人が日本居住者であれば課税対象から外れません。これを「無制限納税義務者」制度と呼び、相続税法第1条の3に明文化されています。
2015年の税制改正で基礎控除が「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられて以降、海外資産を含む総財産額が基礎控除を超えるケースは確実に増えています。海外不動産を1件でも持てば、評価額次第ではすぐに申告義務が生じる水準です。「海外にあるから大丈夫」という認識は、もはや通用しません。
「国外財産調書」と「財産債務調書」の未提出リスクを把握する
2026年の税務環境では、国外財産の把握精度がさらに高まっています。CRS(共通報告基準)により、フィリピン・米国を含む参加国の金融口座情報が日本の国税庁へ自動的に提供されます。
これに加えて、年末時点で5,000万円超の国外財産を持つ居住者には「国外財産調書」の提出義務があり、未提出や記載漏れには加算税の加重措置が適用されます。さらに総財産が10億円超の場合は「財産債務調書」も必要になります。海外資産を保有したその日から、この申告義務の管理を始めることが国際相続対策の土台です。
私が3資産で直面した海外資産の評価方法――実体験から学んだ落とし穴
フィリピン・オルティガスのプレセール物件:評価は「取得価額」か「時価」か
私がフィリピンのマニラ新興エリア、オルティガスでプレセールコンドミニアムを購入したのは、エリアの開発余地と価格成長性に期待したためです。当時の購入価格は日本円換算でおよそ1,500万円台でした。プレセールとは竣工前に販売するスキームで、完成時には評価額が上昇している可能性があります。
ここで問題になるのが相続税評価の方法です。日本の相続税法では、海外不動産の評価は「売買実例価額」「精通者意見価格」「固定資産税評価額に準じた評価」の順で検討されます。しかしフィリピンには日本の固定資産税評価制度と同じ仕組みが存在しないため、現地の不動産鑑定士による評価書を取得し、それを日本の税理士が邦貨換算して申告するという手続きになります。この鑑定取得には費用と時間がかかり、相続発生後に慌てて手配したのでは間に合いません。生前から現地の不動産会社や鑑定士とのネットワークを持つ税理士に相談しておくことが重要です。
ハワイのタイムシェア持分:米国連邦遺産税と日米租税条約の活用
ハワイ主要リゾートのタイムシェアは、法的には「不動産の持分」として扱われます。米国内に所在する不動産を非居住外国人(日本人)が保有している場合、米国の連邦遺産税が課される可能性があります。非居住外国人への基礎控除額は6万米ドルにとどまり、日本人が想定しがちな日本と同水準の控除はありません。
ただし、日米租税条約(相続・贈与税に関する条約)を活用することで、一定の二重課税排除措置を受けられます。具体的には、日本で支払った相続税を米国での遺産税計算に際して控除する仕組みがあります。私がハワイのタイムシェアを保有するにあたり、このスキームを確認するために米国の遺産税に詳しい税理士法人に事前確認しました。条約の恩恵を得るには申告手続きが必要なため、自動的に二重課税が回避されるわけではない点に注意が必要です。海外資産 出国税 1億円ルール|35歳移住計画で精査した5論点
フィリピン相続税の課税論点――現地課税と日本課税の二重負担を避ける構造
フィリピンは一律6%の相続税率だが「ネット財産」の控除構造が異なる
フィリピンでは2018年の税制改革(TRAIN法)以降、相続税率が一律6%に統一されました。課税対象はフィリピン国内に所在する財産の総額から、標準控除500万ペソ(2024年時点)等を差し引いた「純資産」です。日本人がフィリピン不動産を保有し、相続が発生した場合には、まずフィリピンで現地相続手続きと相続税申告を行い、その後に日本で相続税申告をする流れになります。
日本の相続税法には「外国税額控除」の規定があり、フィリピンで納付した相続税相当額を日本の相続税から控除できます。ただし控除には上限計算式があるため、フィリピンでの税負担が必ずしも全額控除されるとは限りません。控除しきれない税負担が生じるケースも存在するため、フィリピン 相続税と日本の相続税の双方を合算でシミュレーションする必要があります。
フィリピン不動産の名義設計:個人名義か法人名義か
フィリピンでは外国人個人がコンドミニアムを区分所有することは可能ですが、土地は原則として外国人個人名義での取得ができません。私がオルティガスで購入したのもコンドミニアム(区分所有)であり、個人名義での所有です。
一方、フィリピン法人(フィリピン人株主比率60%以上)を設立して法人名義で不動産を持つ構造もあります。法人名義の場合、相続時には「法人の株式」が相続財産になります。株式評価は純資産価額方式に類する方法になりますが、フィリピン国内での相続手続きが簡略化できる点と、複数の日本人投資家が関わる場合の持分管理がしやすくなる点がメリットとして挙げられます。ただし法人設立・維持コストや、フィリピンの会社法・税法への対応が必要になるため、専門家への相談を強くお勧めします。
ハワイ相続税の二重課税対策――宅建士が選ぶ7つの実務手順
ハワイ州遺産税と連邦遺産税の「二層構造」を理解する
ハワイ州には独自の州遺産税があります。2026年時点で、ハワイ州遺産税の基礎控除は500万米ドルです。タイムシェア持分の評価額が単独でこの水準を超えることは通常考えにくいですが、ハワイに複数の不動産持分を持つ場合や、米国に他の資産がある場合は注意が必要です。連邦遺産税の非居住外国人向け控除(6万米ドル)と合わせると、実務上は「連邦遺産税のリスクをいかに管理するか」がハワイ資産の国際相続対策の核心です。
実務手順として私が整理しているのは以下の7軸です。①現地資産の時価評価書を生前に取得する、②日米租税条約の二重課税排除条項を適用する、③米国の遺産信託(Revocable Living Trust)の活用可否を現地弁護士に確認する、④フィリピン・ハワイ・日本の税理士ネットワークを一元管理する専門家を探す、⑤法人スキームの活用可否を国ごとに検証する、⑥相続人への連絡・手続き順序を書面化した「国際相続マニュアル」を作成する、⑦外国税額控除のシミュレーションを毎年更新する。この7軸を年1回以上見直すことが、海外資産 相続税おすすめ対策として私が実践しているアプローチです。海外移住の出国税対象者とは|資産1億で精査した5要件2026
「海外資産 評価」における為替リスクと評価時点の管理
相続税の申告では、外貨建て資産を円換算するために「相続開始日のTTMレート」を使用します。つまり、相続が発生した日の為替レートによって日本円での評価額が大きく変わります。円安局面であれば海外資産の円換算評価額が膨らみ、相続税負担が予想以上に大きくなるリスクがあります。
為替リスクへの対応として、資産全体のポートフォリオを円建て・外貨建てで分散させておくことが有効です。また、生命保険の死亡保険金は「500万円×法定相続人数」の非課税枠があり、円建て保険で相続税の納税資金を手当てするという方法も、保険代理店勤務時代に富裕層のお客様に提案してきた実践的なアプローチです。海外資産が多い方ほど、円建ての流動資産を意識的に確保しておくことを検討する価値があります。
まとめ:2026年に動くべき国際相続対策の7軸チェックリストとCTA
今すぐ確認すべき7つのアクションポイント
- 国外財産調書の提出義務(年末時点5,000万円超)を毎年確認する
- フィリピン・米国など現地の相続税法を専門家と年1回レビューする
- 海外不動産の時価評価書を生前に現地鑑定士から取得・更新する
- 日米租税条約・日比租税条約の二重課税排除規定を申告に適用する
- 外国税額控除のシミュレーションを毎年更新し、控除不足分を把握する
- 円建て生命保険や流動資産で相続税の納税資金を手当てしておく
- 国際相続に対応できる日本人税理士・現地弁護士のネットワークを生前に構築する
専門家への相談が、国際相続で差がつく唯一の選択肢です
私はAFP・宅建士として、保険代理店時代を含め500件を超える資産相談に関わってきました。そのなかで痛感したのは、「海外資産を持ち始めた時点で、国際相続に強い税理士と顧問契約を結んでいる方」とそうでない方では、相続発生後の手続き負担と税負担に大きな差が生じるという事実です。
特に、フィリピンやハワイのように現地の税制・手続きが日本と全く異なる国の資産を持つ場合、一般的な税理士では対応しきれないケースがあります。国際相続の経験が豊富で、現地の専門家ネットワークを持つ税理士を早期に見つけることが、海外資産 相続税おすすめ対策2026において私が伝えたい核心です。なお、税務の取り扱いは個人の状況や法改正によって異なりますので、必ず専門家に個別相談のうえで判断してください。
税理士をお探しなら。税理士探しの強い味方「税理士紹介エージェント」
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
本記事のリンクはアフィリエイトリンクを含みます。
