ビザ取得向け不動産の選び方|宅建士が35歳移住計画で精査した7基準2028

結論から言うと、ビザ取得を目的とした不動産の選び方を誤ると、投資要件を満たしているはずなのにビザが下りないという事態が起こります。AFP・宅建士として海外不動産を実際に保有し、2028年のアジア圏移住を計画している私が、ゴールデンビザと物件選定の「ズレ」を7つの基準で徹底的に整理しました。移住を具体的に検討しているなら、この記事を読んでから物件を選んでください。

ビザ向け不動産選びの前提——なぜ「投資要件を満たす物件」で失敗するのか

ゴールデンビザの投資要件と不動産評価額のギャップ

ゴールデンビザの取得条件として「不動産への一定額以上の投資」が求められる国は、UAE・ポルトガル・スペイン・ギリシャ・マレーシアなど複数存在します。しかし各国の要件は頻繁に改正されており、2023年にポルトガルが住宅用不動産をゴールデンビザの対象外としたことは、多くの日本人投資家に衝撃を与えました。

重要なのは「購入価格」と「当局が認める評価額」が一致しないケースがある点です。新築プレセール物件では、デベロッパーが提示する販売価格と、現地政府が定める課税評価額の間に大きな乖離が生じることがあります。購入価格がビザ要件の閾値を超えていても、評価額ベースで審査されると要件未達となるリスクがある点は、日本の宅建業法の文脈では想定しにくい落とし穴です。

「海外不動産は宅建業法の対象外」が意味するリスク

私は宅地建物取引士の資格を持っていますが、日本の宅建業法が義務付ける重要事項説明の制度は、原則として国内不動産取引にのみ適用されます。海外不動産を日本の業者が仲介する場合でも、現地の法律が優先されるため、日本国内で当然とされる情報開示が行われないケースがあります。

フィリピンでプレセールコンドミニアムを購入した際、私が現地の弁護士に依頼して確認した内容のうち、日本のセールス資料に記載されていなかった項目は5つ以上ありました。海外不動産の選び方において、宅建士の視点は「日本基準が通用しない」ことを前提とした確認作業にこそ役立ちます。

私がフィリピン購入時に気づいた「最低投資額の落とし穴」

プレセールで経験した評価額と販売価格のズレ

私がフィリピン・マニラ新興エリアのプレセールコンドミニアムを購入したのは、アジア圏移住の足がかりとなる物件を探していた時期のことです。当時の販売価格は日本円換算でおよそ1,200万円台。フィリピンは外国人による土地所有は禁止されているものの、区分所有マンション(コンドミニアム)であれば外国人名義での購入が可能で、かつコンドミニアム全体の外国人保有比率が40%以下という規制の中で取得しました。

購入後に痛感したのは、フィリピン独自のビザ制度であるSRRV(特別退職者居住ビザ)の投資要件と、私が購入した物件の評価のされ方が異なるという点でした。SRRVの不動産投資要件は、定められた金融機関への預金や認定物件への投資が前提となっており、「どの物件でもよい」わけではないのです。ビザ要件を後から調べて「対象外だった」と気づく人は、実際に少なくありません。

保険代理店時代の富裕層顧客が陥ったパターン

総合保険代理店に勤務していた頃、個人事業主や資産規模の大きいお客様の相談を多数担当しました。海外不動産を絡めた資産形成の話が出るたびに感じたのは、「ビザのために買った」と「資産として買った」の目的が混在していることへの無頓着さです。

あるお客様は、東南アジアの物件を「ビザ取得に使えると聞いた」という理由で2,000万円超を投じましたが、実際にはそのビザ制度が前年に改定されており、不動産投資要件そのものが撤廃されていました。ビザ制度の改正は頻繁に行われます。購入前に現地の移民局や専門家へ直接確認するプロセスを省いてはいけません。専門家への相談を強くおすすめします。

立地・賃貸需要・為替——3要素を同時に満たす物件の選び方

ビザ要件を満たしながら賃貸収益も期待できる立地の条件

ビザ取得用の不動産であっても、その物件が長期的に賃貸収益を生む可能性があるかどうかは重要な選定基準です。ゴールデンビザ取得後に現地に住まない場合、物件を賃貸に出して運用コストを回収するモデルが現実的な選択肢の一つとなります。

私がフィリピンの物件を選ぶ際に重視したのは、①MRT(都市鉄道)駅から徒歩圏内か、②周辺にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)オフィスが集積しているか、③外国人駐在員が多いエリアかの3点です。フィリピンのコンドミニアム賃貸市場は、BPO企業の外国人マネージャー層の需要が一定程度存在しており、オルティガスやBGCといったエリアは空室リスクが比較的低い傾向にあります。ただし、為替リスク(ペソ/円)は常に存在するため、円建てでのシミュレーションは慎重に行う必要があります。

出口戦略を先に決めてから物件を選ぶ重要性

海外不動産における出口戦略とは、「いつ、どのように物件を売却または活用するか」の計画です。ビザ保持のために物件を手放せない期間が定められている国もあります。たとえばドバイのゴールデンビザ(不動産投資型)では、取得時に保有する物件を売却すると、ビザの継続要件を満たせなくなるリスクがあります。

私が2028年の移住計画を立てるにあたって意識しているのは、「ビザを維持したまま物件を入れ替えられるか」というポイントです。国によっては同等額の別物件に買い替えることでビザを継続できる制度もありますが、手続きのタイムラグや評価のタイミングによってはビザが一時的に失効するリスクも生じます。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点出口戦略は購入前に法律専門家と確認することを推奨します。

名義・税務・現地法令——見落としがちな3つの整合ポイント

法人名義と個人名義、どちらでビザ要件を満たすか

海外不動産をどの名義で取得するかは、ビザ申請においても資産管理においても重要な判断です。ドバイの不動産型ゴールデンビザは個人名義の物件に対して発行されるのが原則であり、法人名義の物件では個人ビザの申請ができないケースがあります。一方でマレーシアのMM2Hプログラムは個人申請が基本ですが、資産の持ち方によっては現地での課税関係が変わります。

私は現在、東京都内で法人を経営しインバウンド民泊事業を運営していますが、海外物件の一部は個人名義、一部は法人を介した形で保有を検討しています。AFPとして資産全体の税務整合性を考えると、日本の居住者として海外不動産を保有する場合、確定申告における外国税額控除の適用可否や、現地の固定資産税に相当するものの扱いが国によって大きく異なります。国をまたぐ税務は必ず税理士や国際税務の専門家に相談することが前提です。

外国人の不動産保有制限——フィリピン・ドバイ・タイの比較

ビザ取得用の不動産を選ぶうえで、各国の外国人保有制限を理解することは必須です。フィリピンは土地所有が外国人に禁止されており、区分所有の場合は建物全体の外国人比率40%以内という制限があります。タイも外国人の土地所有は基本的に不可で、コンドミニアムの外国人保有比率は49%が上限です。

一方、ドバイ(UAE)では指定エリア(フリーホールドエリア)であれば外国人が土地を含む完全所有権(フリーホールド)で取得できます。この違いはビザ取得後の権利の安定性にも直結します。フィリピンやタイでは、コンドミニアムの外国人枠が埋まっていた場合、購入自体ができなくなるリスクもあります。現地法令の確認は弁護士または認定エージェントを通じて行うことを強くおすすめします。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点

7基準チェックリストとドバイ移住への具体的な次の一手

ビザ取得用不動産を選ぶ7つの基準

  • 基準①:ビザ制度との整合確認——購入物件がビザ申請の対象として認められているか、最新の制度で確認する
  • 基準②:投資額の評価基準——販売価格ではなく当局が認める評価額がビザ要件を満たすか確認する
  • 基準③:外国人保有制限の確認——フリーホールドかリースホールドか、保有比率制限はないかを事前に精査する
  • 基準④:賃貸需要と立地の実需——ビザ維持期間中の保有コストを賄える賃貸需要が見込めるエリアか
  • 基準⑤:出口戦略の明確化——売却・買い替え・継続保有のどのシナリオでもビザ継続が可能か
  • 基準⑥:名義と税務の整合——個人・法人どちらの名義が日本の税務申告と整合するか専門家確認済みか
  • 基準⑦:為替リスクの織り込み——円建てでの収支悪化シナリオを想定したキャッシュフロー計画があるか

ドバイを次の移住検討先として選ぶ理由と法人設立の関係

私が2028年の移住先としてドバイを有力な候補として検討している理由は、個人所得税がゼロである点、フリーホールド物件によるゴールデンビザ取得の制度設計が比較的透明である点、そして日本からの渡航アクセスの現実的な利便性です。ただし、ドバイへの移住にあたっては現地での法人設立または就労ビザ・ゴールデンビザのいずれかの取得が必要であり、不動産型ゴールデンビザの場合は2024年時点でフリーホールド物件への200万AED(約8,000万円前後、為替により変動)以上の投資が要件の一つとなっています。

移住準備として法人設立を先行させるアプローチも有効な選択肢の一つです。特に日本国内で法人を経営しながら海外展開を考えている場合、ドバイへの法人設立によって税務・拠点の両面で選択肢が広がる可能性があります。ただし、日本の居住者のまま海外法人を持つ場合は、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)の適用を含む税務リスクが生じる可能性があるため、国際税務の専門家への相談は必須です。個人差がありますので、ご自身の状況に合わせて慎重に判断してください。

ドバイへの移住・法人設立に関心がある方には、具体的なサポートを提供しているサービスを活用することをおすすめします。

ドバイ移住・海外法人設立サポート GVA法人登記

筆者:Christopher/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。フィリピン・マニラ新興エリアのプレセールコンドミニアムおよびハワイの主要リゾートでタイムシェアを保有。株式・ETF・米国REIT・暗号資産・銀地金を運用中。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は東京都内で法人を経営・インバウンド民泊事業を運営。個人事業主・富裕層の資産相談を多数担当してきた実務経験をもとに、海外資産形成と日本の税務・法務の両面を発信している。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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