ゴールデンビザ2026を取り巻く環境は、ここ1〜2年で大きく変わりました。AFP・宅建士として500件超の資産相談に関わり、自身もフィリピン・ハワイで海外不動産を保有する私が、スペイン廃止後の選択肢として注目される5カ国を投資額・税制・取得期間の3軸で比較します。申請失敗の実例と、私が実際に移住先選定で使っている判断軸も公開します。
ゴールデンビザ2026の最新潮流——なぜ今、見直しが必要なのか
スペイン廃止ショックが業界に与えた影響
2024年4月、スペイン政府はゴールデンビザ(投資家居住許可)制度の廃止を正式表明しました。不動産投資50万ユーロという比較的シンプルな条件と、シェンゲン協定域内への移動自由度の高さから、日本人投資家の間でも人気の高かったルートです。廃止の理由として挙げられたのは「住宅価格の高騰」と「居住実態のない投機的購入」への批判です。
この動きは、投資移民2026を検討している人たちに警鐘を鳴らしています。制度は政治的判断で突然変更されます。私が保険代理店時代に富裕層の資産相談を担当していた頃も、「海外不動産は日本の法制度と全く異なる」という前提を徹底して共有することが出発点でした。今も同じ姿勢でいます。
2026年時点で注目される制度変化の3つの方向性
スペイン廃止後、ゴールデンビザ市場には大きく3つの方向性が見えています。第一に「投資額の引き上げ」。ポルトガルは2023年の改正で不動産投資ルートを事実上廃止し、代わりに投資ファンド経由(50万ユーロ以上)に誘導しています。第二に「居住実態要件の強化」。形式的な滞在で永住権・市民権を取得する動きへの国際的な批判が高まり、年間滞在日数の確認が厳しくなっています。
第三が「非EU圏の台頭」です。UAE(ドバイ)、マルタ、ギリシャといった国が積極的に投資家を呼び込んでいます。海外移住 ビザを検討する際、EU圏にこだわらない選択肢が現実的になっています。
フィリピン購入・ハワイ運用で気づいた「制度リスク」の本質
フィリピンでプレセールコンドを購入した時の経験
私がフィリピン・オルティガスエリアのプレセールコンドミニアムを購入したのは、まさにこの「制度リスク」を身をもって学んだきっかけでした。当時の購入価格は日本円換算で約1,200万円台。フィリピンは外国人が区分所有(コンドミニアム)を購入できる数少ないアジア諸国の一つですが、土地の取得は原則禁止という制度上の制約があります。
契約時に私が宅建士として真っ先に確認したのは、「現地の外国人財産保有規制」と「送金規制」でした。日本の宅建業法は海外不動産には適用されないため、日本で通用する重要事項説明のような法的保護は現地では異なる形になります。フィリピン・SECへの登記状況、デベロッパーの財務状況、完成後の管理会社の評判——これらを自分で調べ、現地代理人を通じて確認するプロセスは、国内不動産売買より手間がかかりました。
ハワイのタイムシェア運用で見えた「滞在権ビザ」との違い
ハワイではマリオット系のタイムシェアを保有しています。タイムシェアはゴールデンビザとは全く異なる仕組みで、あくまでも「一定期間の利用権」です。米国の永住権や滞在資格には直接つながりません。これを混同して「ハワイに不動産を買えばアメリカに住める」と思い込んでいる相談者に、保険代理店時代も、今も定期的に会います。
ゴールデンビザは「投資と引き換えに居住権を得る制度」ですが、タイムシェアや区分所有だけでは居住権は生まれません。為替リスク、現地税制、維持管理コストは別途発生します。この区別を明確にすることが、海外移住 ビザを考える上での出発点です。なお、海外送金や現地課税については国によって制度が全く異なりますので、必ず税理士・現地弁護士への相談をお勧めします。
スペイン廃止後の代替5カ国——投資額と取得期間の比較
5カ国の制度概要を3軸で整理する
2026年時点で日本人投資家が現実的に検討できるゴールデンビザ保有国として、私はポルトガル・ギリシャ・UAE(ドバイ)・マルタ・タイの5カ国を選んでいます。以下に3軸(投資最低額・居住要件・永住権取得までの期間)で整理します。
- ポルトガル:投資ファンド経由50万ユーロ〜。年間平均7日以上の滞在。5年後に永住権申請可。EU市民権取得ルートあり。不動産直接購入ルートは2023年改正で廃止。
- ギリシャ:不動産購入25万ユーロ〜(一部エリアは50万ユーロに引き上げ)。居住要件なし。5年ごと更新。EU域内移動が可能。ギリシャ ゴールデンビザは現在も不動産直接投資ルートが残っているため、EU圏への足がかりとして注目されています。
- UAE(ドバイ):不動産購入200万AED(約7,500万円)〜でゴールデンビザ(10年)。法人設立経由も可。居住要件は6ヶ月以上の国外滞在がなければ更新可。所得税・キャピタルゲイン税なし(ただし日本の居住者課税は別途検討要)。
- マルタ:恒久居住プログラム(MPRP)は貢献金7万〜10万ユーロ+不動産賃貸または購入が条件。12ヶ月以内に取得可能なケースも。EU圏だがシェンゲン加盟。
- タイ:LTR(長期滞在者)ビザ。富裕層向けは80万バーツ(約320万円)の投資証明等。厳密には「投資移民」とは異なるが居住の安定性は高い。東南アジアで生活コストを抑えたい層に人気です。
ポルトガル ゴールデンビザは「EU市民権への橋渡し」として依然魅力的ですが、投資ルートが限定されたため、以前より敷居が上がっています。ギリシャは不動産投資の直接性と居住要件なしの組み合わせが特徴的です。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点
税制メリットと為替リスクの両面を必ず確認する
UAEは所得税・キャピタルゲイン税が課されない点が注目されますが、日本に住民票を残したまま単純に「節税」できる話ではありません。日本の居住者判定は「住所」の実態で行われるため、生活の本拠を移さなければ日本の課税ルールが適用されます。この点を誤解したまま移住計画を進めるケースが、私が見てきた相談の中で少なくありませんでした。
また、ギリシャやポルトガルへの投資はユーロ建てになります。円安局面では投資額が実質的に膨らみます。2024年に入ってから円安が進んだ局面では、当初計画より日本円換算で20〜30%以上の追加資金が必要になったケースがありました。為替リスクは投資収益の試算に必ず組み込む必要があります。海外送金・税務は専門家への相談を強く推奨します。
私が見た申請失敗の3事例——宅建士視点で解剖する
失敗事例①〜②:デューデリジェンス不足と制度変更への無対応
保険代理店時代から現在にかけて、私が直接・間接に関与したゴールデンビザ関連の相談で、申請が頓挫したり想定外のコストが発生したりしたケースには共通点があります。
事例①は「現地代理人の選定失敗」です。日本の不動産仲介と違い、海外では宅建業法のような消費者保護規制が機能していないケースがあります。手数料体系が不透明な代理人に依頼し、購入後に管理費が予告なく倍増した事例を複数確認しています。代理人の実績・登録状況・契約書の翻訳確認は省いてはいけないプロセスです。
事例②は「制度変更リスクの軽視」です。スペインの廃止がまさにこれです。「購入当時は50万ユーロで申請できた」のに廃止が決まり、投資資金の回収と再プランニングを余儀なくされた方がいました。制度は常に変更される可能性があると前提に置き、投資判断は居住権取得だけを目的にしないことが重要です。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点
失敗事例③:日本側の税務処理の抜け漏れ
事例③は「日本の税務申告漏れ」です。海外不動産を購入・運用した場合、日本に居住者がいる限り、国外財産調書の提出義務(5,000万円超)や、外国税額控除の申告が必要になるケースがあります。これを「海外のことだから」と無申告にしていたケースです。
私自身、フィリピンのコンドミニアム購入後、日本側の税理士と現地の会計士の両方と連携して税務処理を確認しました。AFP資格を持っていても、国際税務は専門領域ですから、個人で完結しようとするのは危険です。必ず日本・現地双方の専門家に相談することを前提に計画を立ててください。個人差があります。
宅建士が選ぶ最適国の判断軸——まとめとCTA
私が移住先選定で使っている4つの判断軸
- ①居住意思の明確化:「実際に住むのか」「パスポートを取りたいのか」「節税が目的か」によって最適な国は全く異なります。目的の優先順位を最初に固めることが出発点です。
- ②投資額と流動性のバランス:ゴールデンビザのために拘束される資産の期間と金額を、総資産の何割にするかを決めてください。私は海外不動産への集中投資は資産全体の30%以内を目安にしています。
- ③日本側の課税シミュレーション:移住後も日本の銀行口座・法人・不動産を保有する場合、日本の課税義務は簡単には切り離せません。移住前に日本の税理士と「出口戦略」まで議論することが重要です。
- ④制度の安定性と変更リスク:スペインの廃止、ポルトガルの不動産ルート廃止が示す通り、制度は変わります。国の財政状況・政治動向・EU規制の影響を定期的にモニタリングする仕組みを作ることが求められます。
ドバイ移住・海外法人設立を検討するなら専門サポートを活用する
私が現在アジア圏への海外移住を計画しながら、UAE(ドバイ)を選択肢として真剣に検討しているのは、所得税ゼロ・法人設立の利便性・インバウンド民泊事業との相性という3つの理由からです。ドバイは投資移民2026の文脈でも、制度の透明性と迅速な対応で評価が高い地域です。
ただし、海外法人の設立・維持には現地のルールに精通したサポートが欠かせません。私自身が東京で法人を経営しているからこそ、海外法人のコンプライアンスリスクは軽視できないと理解しています。ゴールデンビザと合わせてドバイへの移住や海外法人設立を検討している方には、専門家のサポートを活用することを選択肢として検討する価値があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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