Henleyパスポート指数で選ぶドバイ移住|宅建士が2030計画で検証した7視点

AFP・宅地建物取引士として資産相談に携わってきた私が、2030年のアジア圏移住計画を立てる中で、視野をUAE・ドバイへも広げた経緯があります。その検討軸の一つがHenleyパスポート指数です。単なるランキングではなく、移住先の「出口戦略」と「税制設計」に直結するデータとして、今回は7つの視点から検証した内容を共有します。

Henleyパスポート指数とは何か:基礎から押さえる

指数の定義と算出ロジック

Henleyパスポート指数(Henley Passport Index)は、英国のコンサルティング会社Henley & Partnersが公表するパスポートランキングです。国際航空運送協会(IATA)のデータをもとに、「ビザなしまたはビザオンアライバルでアクセスできる国・地域の数」を各国パスポートに対してスコア化しています。

2024年時点でトップグループに位置するのは日本・シンガポール・フランスなどで、190カ国以上へのビザなし渡航が可能です。一方でUAEは近年急上昇しており、2024年には180カ国以上へのアクセスが認められ、中東パスポートとしては突出した水準に達しています。

この数字が移住計画においてどう機能するかというと、「取得した居住権・市民権のパスポートが将来どれだけ行動の自由を広げるか」という出口評価に使えるのです。私が移住先を比較した際、この視点を軸の一つに設定したのはそのためです。

パスポートランキングとしての活用方法

Henley指数を単なる渡航便利ランキングと捉えると、移住計画における本質を見逃します。資産形成の文脈では、以下の3点が重要な評価軸になります。

  • 居住国のパスポートが将来どこへ渡航・移住できる「次の選択肢」を持つか
  • UAEパスポートは先進国・新興国双方へのアクセスが広く、資産運用先の分散に有利
  • Henleyスコアの上昇トレンドは、その国の外交力・経済的信頼度を間接的に示す

なお、Henley指数はあくまで渡航アクセス数のランキングです。生活水準・税制・法制度との組み合わせで総合評価する必要があります。パスポートランキングだけで移住先を決めることは、私は推奨しません。

私がフィリピン購入時に痛感した「指数以外のリスク」

プレセールコンドミニアム取得の実体験

私はマニラ・オルティガス地区のプレセールコンドミニアムを所有しています。購入を決めた時点では、フィリピンの経済成長率や不動産価格の上昇傾向に注目していました。当時の取得価格は日本円換算で約400万円台後半。分割払いスキームを活用し、フィリピンペソ建てで契約しました。

ここで私が痛感したのが為替リスクと現地法律の複雑さです。フィリピンでは外国人の土地所有は禁止されており、コンドミニアムに限り外国人名義での取得が可能ですが、棟全体の外国人保有比率は40%以内という制限があります。これは日本の宅建業法とは全く異なるルールで、現地の弁護士に確認しなければ把握できない情報でした。

海外不動産は日本の宅建業法の適用対象外です。宅建士資格があっても現地の法制度は別途調査が必要で、この点を誤解したまま購入に進むのは非常に危険です。専門家への相談を強く推奨します。

ハワイタイムシェアから学んだ「流動性」の問題

ハワイのマリオット系リゾートエリアでタイムシェアも保有しています。年間数十万円のメンテナンス費用がかかる仕組みで、資産価値の上昇というより「利用権の確保」として位置づけています。売却時に買い手が見つかりにくいという流動性の低さは、取得前に十分理解していたつもりでしたが、実際にセカンダリーマーケットを調べると想定以上に厳しい現実がありました。

この経験から、ドバイの不動産をどう評価するかを考える際にも「出口」を先に設計する思考が身につきました。入口の利回りや税制メリットだけでなく、売却時の市場規模と外国人取引ルールを先に確認する——これは私がすべての海外不動産に共通して実践している判断プロセスです。個人差があることを前提に、自分の資産全体のバランスで判断してください。

私が精査した7つの視点:UAE移住を多角的に評価する

税制・法制度・ビザの3本柱

ドバイを含むUAEは個人所得税が非課税です。ただし、2023年から法人税(連邦法人税9%)が導入されており、「完全無税」という情報はすでに過去のものになっています。課税ルールは日本と大きく異なるため、日本の税理士・UAE対応の専門家に相談する必要があります。特に日本居住者のまま資産をドバイに移す場合、日本の居住者判定に基づく課税義務が継続する可能性があります。

私が検討した7つの視点の中で、特に重要な軸をまとめます。

  • ①Henleyスコア上昇トレンド:UAEパスポートは2014年比で約50カ国分のアクセス増
  • ②個人所得税ゼロの維持継続性:制度変更リスクも含めて評価
  • ③ドバイゴールデンビザの取得要件:不動産投資200万AED以上が一つの条件
  • ④不動産市場の流動性:外国人取引が全体の約40%を占める透明度の高い市場
  • ⑤日本との租税条約:UAE-日本間には現時点で租税条約が未締結(2024年時点)
  • ⑥生活インフラ・医療水準:英語が通用し医療施設の整備水準が高い
  • ⑦アジアへのフライトアクセス:ドバイ国際空港は東南アジア各都市への直行便が充実

租税条約が未締結である点は、二重課税リスクを高める要因になります。移住後も日本側の所得課税がどう判断されるかは、個別のケースによって異なります。必ず専門家に確認してください。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点

ゴールデンビザ連動効果と不動産投資の相乗効果

ドバイゴールデンビザは、200万AED(約8,000万円・為替によって変動)以上の不動産投資または特定の職業要件を満たすことで、5年〜10年の長期居住権が取得できる制度です。この制度が注目される理由は、居住権取得と不動産投資をセットで設計できる点にあります。

保険代理店時代に富裕層の資産相談を多数担当した経験から言うと、「税制メリットの国に資産を置きながら、日本には住民票だけ残す」というスキームを希望するケースが多くありました。しかしこれは日本の税法上、実態的な居住地判定によって否認されるリスクがあります。形式ではなく実態として移住する前提で計画を立てることが、リスク回避の基本です。

ドバイの不動産市場は外国人の取引比率が高く、英語での契約が一般的です。ただし日本の宅建業法は適用されないため、現地エージェントの選定と契約内容の精査は自己責任で行う必要があります。私自身もUAE不動産の現地視察と法律調査を進めている段階であり、まだ購入には至っていません。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点

2030年移住計画で見えた落とし穴と私の最終判断軸

移住計画で直面した3つのリスク

2030年を目標にアジア圏移住を計画している私が、ドバイを候補に加えて実際に調べた結果、以下の3つが想定外のハードルでした。

一つ目は「日本との生活拠点の切り替えコスト」です。現在、東京都内でインバウンド民泊事業を運営しています。法人と民泊施設の管理体制を維持したまま海外に移住するためには、国内の法人運営体制を再設計する必要があります。これは単純な引越しではなく、事業再編に近い作業です。

二つ目は「UAE居住実態の確保」です。ドバイゴールデンビザを取得しても、年間183日以上の滞在を伴わなければ日本の非居住者認定が得られない可能性があります。税務上の居住地変更は、実態が伴って初めて成立します。

三つ目は「為替リスクとAEDペッグ制の評価」です。UAEディルハム(AED)は米ドルにペッグ(固定)されており、ドル円の変動がそのまま資産評価に影響します。為替リスクはゼロではなく、円安・円高の局面によって日本円換算の資産価値は大きく変動します。

Henley指数を移住計画の「補助指標」として使う理由

Henleyパスポート指数はあくまで補助指標です。この数字が高い国に移住すれば資産が増えるわけではありませんし、生活の質が自動的に上がるわけでもありません。私がこの指数を使う目的は、「移住後のパスポートが次の行動選択肢をどれだけ広げるか」というシナリオ分析のためです。

UAEパスポートのHenleyスコアは上昇傾向にあります。現在の日本パスポートのスコア(193前後)には届きませんが、将来的に市民権取得を視野に入れるなら、その「取得した後のパスポートの価値」も評価に含める必要があります。UAEの市民権取得はハードルが高く、現時点では一般的なルートではありませんが、2030年代の政策変化も含めて情報収集を続けています。

まとめ:2030年計画の判断軸とドバイ移住の現実

7つの視点を総合した私の暫定結論

  • Henleyパスポート指数はUAE移住を検討する際の「出口設計」の補助指標として有効
  • ドバイゴールデンビザは不動産投資との連動設計が可能で、税制メリットも実在する
  • ただし法人税導入・日本との租税条約未締結・居住実態要件など、制度面のリスクが複数ある
  • 海外不動産は日本の宅建業法適用外。現地法律の確認と専門家への相談が前提条件
  • 為替リスク(AEDは米ドルペッグ)と流動性リスクは必ず考慮すること
  • 移住は事業・生活・税務をセットで再設計する作業。計画期間は最低でも3〜5年を見込む
  • 個人の資産状況・家族構成・事業形態によって最適解は異なる。専門家への相談を推奨する

次のステップとして検討したいこと

私自身は現在、2030年移住を目標に東京の民泊事業と海外資産のバランスを再設計しているフェーズです。ドバイは有力な候補地の一つですが、フィリピン・マレーシア・タイとの比較も継続しています。Henley指数はその比較の中で、「移住後の行動自由度」を評価するツールとして活用しています。

もしあなたがドバイ移住や海外法人設立を具体的に検討しているなら、まずは法人設立スキームの全体像を把握することが有効なステップになります。税務・法務のプロフェッショナルによるサポートを受けながら、自分の状況に合った計画を立ててください。なお、海外送金・税務は国によってルールが異なるため、税理士・司法書士などの専門家への個別相談を必ず行ってください。

ドバイ移住・海外法人設立サポート GVA法人登記

筆者:Christopher/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。フィリピン・オルティガスのプレセールコンドミニアムおよびハワイのマリオット系タイムシェアを実際に保有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て500件超の富裕層・個人事業主の資産相談を担当。現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。2030年アジア圏移住を計画中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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