Henley2026パスポート指数|宅建士が海外移住計画で読み解く7視点

AFP・宅建士として海外資産形成に関わってきた経験から言うと、Henley 2026パスポートランキングは単なる「渡航の便利さ指標」ではありません。海外移住や不動産投資を具体的に考える人にとって、このデータは戦略の起点になります。私自身がフィリピンとハワイに不動産を保有し、アジアへの移住計画を進める中で気づいた7つの視点を、実務経験を交えながら解説します。

Henley 2026指数の基礎理解と日本パスポートの実力

ヘンリーパスポート指数とは何か——データの読み方

ヘンリーパスポート指数(Henley Passport Index)は、英国の投資移住専門コンサルタント会社Henley & Partnersが国際航空運送協会(IATA)のデータをもとに毎年・毎四半期更新している指標です。世界199カ国のパスポートについて、ビザなし渡航または到着ビザで入国できる国・地域の数を集計し、ランキング化しています。

2026年版の特徴は、コロナ禍後の国際関係の再編が反映されていることです。加えて、投資家ビザや移住プログラムと連動したいわゆる「ゴールデンパスポート」の動向も順位に影響を与えており、単純な外交関係の強さだけで説明できない変動が増えています。AFPとして資産相談を受ける立場から見ても、このランキングは富裕層の移住先選定や資産分散判断に直結するデータです。

指数の数値は「ビザフリーでアクセスできる渡航先の数」で表されます。2026年データでは上位国が190以上の国・地域にビザなし渡航できる一方、下位国では30前後にとどまるケースもあり、パスポートの格差は依然として大きい状況です。

日本パスポートの順位推移——ビザフリー渡航数の変化

日本のパスポートは長年、ヘンリーパスポート指数で上位を維持してきました。2023年から2024年にかけては193カ国・地域にビザフリー渡航できるとされ、シンガポールやフランスなどと並ぶ水準でした。しかし2025年〜2026年にかけて、一部の国・地域が入国要件を変更したことにより、日本の順位は若干の変動を見せています。

重要なのは「順位」ではなく「実態」です。私が年4〜6回の海外渡航をしている中で感じるのは、ランキング上の数字と実際の入国経験が必ずしも一致しないという点です。フィリピン渡航時も、現地の入国審査で日本人観光客に対して追加確認が入ることがあります。パスポートランキングはあくまで外交ベースの理論値であり、現地運用は別物と考えるべきです。

また、海外移住や長期滞在を検討する場合、「ビザフリーで入国できる」ことと「長期滞在できる」ことは全く別の話です。この違いを相談者に説明できるかどうかが、実務上の重要な分岐点になります。

私の移住計画とフィリピン不動産で体感した現実

オルティガスのプレセール購入で学んだ「パスポート以外の壁」

私がフィリピン・オルティガスエリアでプレセールコンドミニアムを購入した時の話から始めます。当時、フィリピンはASEAN経済の成長期待が高く、マニラ首都圏の新興エリアには複数のディベロッパーが競合プロジェクトを展開していました。私は現地視察を2回行った上で購入を決断しましたが、手続きを進める中で改めて実感したのは「パスポートランキングの高さは入国の便利さを示すものであり、不動産購入権や居住権とは別次元の話だ」という事実です。

フィリピンの外国人によるコンドミニアム購入は、同一建物内の外国人保有比率が40%未満という制限があります(フィリピン共和国法第4726号)。これは日本の宅建業法とは全く異なる仕組みであり、日本で培った不動産の常識が通用しない場面が多々あります。私は宅建士として日本の不動産取引を熟知していたからこそ、むしろ「知識の上書き」が必要だと感じました。海外不動産は日本の宅建業法の保護対象外である点は、相談者にも必ず伝えるようにしています。

プレセールの特性上、竣工まで2〜4年かかります。その間の為替変動も考慮が必要で、フィリピンペソと円の動向は購入時点では読み切れません。為替リスクは実際に存在します。現地専門家への相談と、複数通貨での資産分散が現実的なアプローチだと考えています。

将来のアジア移住計画で「どのパスポートを評価するか」という問い

私は現在、アジア圏への海外移住を具体的に計画しています。その過程でHenley 2026のデータを実際に参照しているのですが、着目しているのは日本のランキングだけではありません。移住先候補国のパスポートが、第三国へのアクセスをどう変えるかという点も検討事項の一つです。

たとえばUAE(アラブ首長国連邦)のパスポートは、2015年頃には100カ国台のアクセスにとどまっていましたが、近年は180以上の国・地域へのビザフリーアクセスを実現し、順位を大きく上昇させています。もし将来的に居住権を取得したり、現地法人を設立したりする場合、そのパスポートや在留資格が持つ移動の自由度は資産運用の機動性に直結します。

私が総合保険代理店に在籍していた時期、富裕層の個人事業主から「複数のパスポートを持つことで資産防衛になるか」という相談を受けたことがあります。その時点では私自身まだ海外不動産を保有していませんでしたが、今になって改めてその問いの深さを理解しています。パスポートランキングは移住計画の「地図」であり、活用の深さは人それぞれです。個人の状況により最適な戦略は異なりますので、具体的な計画は専門家への相談を強くお勧めします。

UAE順位上昇の背景にある7つの要因

外交戦略・投資家誘致・ゴールデンビザ制度の三位一体

UAEのパスポートランキング急上昇は、単純な外交努力だけで説明できません。同国政府が推進する「ゴールデンビザ」制度(2019年導入、以降拡充)により、2万ディルハム(約80万円前後)以上の月収要件や200万ディルハム(約8,000万円前後)以上の不動産保有者に長期居住資格を付与する仕組みが整備されました。これが世界中の富裕層・投資家を引き寄せ、相互ビザ免除交渉を加速させる好循環を生み出しています。

私がUAEを移住先候補の一つとして検討し始めたのも、このゴールデンビザ制度の要件と、ドバイにおける法人設立コストの低さが背景にあります。UAEには連邦レベルの個人所得税がなく(2023年より一定要件を超える法人に対して9%の法人税が導入されましたが)、資産運用の税務環境が日本と大きく異なります。ただし海外送金や税務処理は国によって異なりますので、必ず現地税務の専門家に相談することが前提です。

Henley 2026でUAEが上昇した要因を整理すると、①大規模な二国間外交、②投資家・富裕層向けビザ制度の拡充、③フリーゾーン法人制度による企業誘致、④観光大国としてのブランディング、⑤アフリカ・中東・アジアとの経済連携強化、⑥デジタルノマドビザなど多様な在留資格の創設、⑦地政学的な「中立国」ポジションの維持——この7点が複合的に作用しています。

パスポートランキングと海外不動産・法人設立の連動性

ここで見落とされがちなのが、パスポートランキングの上昇と不動産市場の活況が連動しているという点です。UAEへの移住者・投資家増加は不動産需要を押し上げ、ドバイの住宅価格は2020年以降から上昇傾向が続いています。パスポートの強化策が不動産市場への資金流入を生み、さらに経済力が増すことで外交上の発言力も高まる——という連鎖です。

私が保険代理店時代に担当した富裕層の相談者の中には、すでにドバイに法人を設立し、UAE居住権を取得していた方が複数いました。彼らが共通して強調していたのは「移動の自由と税務の柔軟性が資産の選択肢を広げる」という点でした。パスポートランキングの数字はその自由度を端的に示す指標です。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点

ただし海外法人設立や移住には、現地の法規制・税務申告義務・日本の居住者判定など複合的な論点が絡みます。特に日本の税務上の「非居住者」要件は厳格であり、形式的な移住では認められないケースもあります。この点は必ず税理士や国際弁護士への相談が必要です。

500人相談で見えた海外移住・資産分散の落とし穴

パスポート力を過信した計画破綻のパターン

大手生命保険会社に2年、総合保険代理店に3年勤務した後、現在は東京都内で法人を経営しながら資産相談を受け続けている私が、これまでに関わってきた相談件数は500人を超えます。その中で、海外移住や海外資産形成で計画が頓挫したケースには、いくつか共通したパターンがあります。

一番多いのが「ビザフリーだから長期滞在できると思っていた」という誤解です。ヘンリーパスポート指数が示すビザフリー渡航は、観光目的での短期滞在を前提としています。就労・居住・不動産保有となると、全く別の在留資格や許可が必要になります。フィリピンで私が実際に経験したように、入国のしやすさと生活・投資環境のしやすさは別軸の問題です。

次に多いのが「為替リスクを軽視した資産計画」です。海外不動産を外貨建てで保有する場合、円高局面では評価額が大きく目減りします。私自身もフィリピンペソ建て資産の評価額が、円ベースで変動するプレッシャーを実感しています。為替リスクは海外資産形成において切り離せない要素であり、必ず資産全体のポートフォリオで考える必要があります。

相談者が見落とす「日本側の税務義務」という死角

相談の中で特に深刻だったのが、海外移住後も日本側の税務申告義務が残るケースです。日本は居住者に対して全世界所得課税を行います。たとえUAEやフィリピンに移住したとしても、日本の税法上の「居住者」と判定された場合は、海外所得も含めて日本で申告・納税が必要になります。

私がAFPとして資産相談をする際、必ず伝えているのは「移住はビザと税務の両輪で設計すること」です。パスポートランキングを参考にしながら移住先を選ぶことは有意義ですが、税務の実態が後からついてくる形になると計画全体が揺らぎます。日本の国税庁と現地税務当局の両方に精通した専門家を早い段階で関与させることが、現実的なアプローチです。個人の状況により対応が大きく異なりますので、必ず専門家への相談を推奨します。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点

また、インバウンド民泊事業を運営している立場から付け加えると、日本に生活拠点を残したまま「プチ海外移住」を組み合わせる形も現実的な選択肢です。完全移住でなくとも、海外に法人や資産を持つことで資産の分散効果は得られます。ただしこの場合も、二重居住に関わる税務判定には十分な注意が必要です。

2027年以降の展望とHenley指数活用の結論

Henley 2026から読み解く——資産形成者が注目すべきポイント整理

  • UAEのパスポート順位上昇は、ゴールデンビザ・法人設立優遇・外交戦略の複合効果であり、2027年以降も上昇傾向が続く可能性があります
  • 日本パスポートは引き続き高い水準を維持していますが、「ビザフリー」と「居住・就労・投資」を混同しないことが前提です
  • ヘンリーパスポート指数は移住先選定の「入口情報」に過ぎず、実際の移住・不動産・税務は現地専門家との連携が不可欠です
  • 海外不動産は日本の宅建業法の保護対象外であるため、国内不動産の常識は通用しない場面が多く、現地法令の確認が必須です
  • 為替リスク・現地法規制・日本側の税務義務の3点セットを必ず考慮した上で、海外資産形成の計画を立てることが重要です
  • パスポートランキングの上昇国(UAEなど)は、不動産市場や法人設立コストにも有利な環境が整っていることが多く、総合的な検討に値します
  • 個人の資産状況・家族構成・収入源により最適な移住・投資戦略は大きく異なります。専門家への相談を必ず行ってください

移住・法人設立を具体的に動かすための次の一手

Henley 2026のデータを活用して海外移住や資産分散を考えるなら、最初のアクションは「情報収集」ではなく「専門家との対話」です。私がフィリピンでプレセール物件を購入した時も、ハワイでタイムシェアを保有した時も、一人で判断した部分と専門家に確認した部分を明確に分けていました。特に税務と現地法規制については、自分の判断に過信は禁物です。

UAEへの移住や法人設立を検討している場合、フリーゾーン法人の選定・ゴールデンビザの申請要件・現地口座開設など、複数のステップが絡み合います。これらをまとめてサポートするサービスを活用することで、計画の精度と実行スピードが大きく変わります。私自身も将来のドバイ法人設立に向けて、こうしたサービスの活用を視野に入れています。

Henley 2026を起点に、パスポートランキングが示す移動の自由と資産の自由を実際の行動につなげるために、まず専門的なサポートで一歩踏み出すことを検討してみてください。

ドバイ移住・海外法人設立サポート GVA法人登記

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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