AFP・宅建士として資産相談を担当してきた私が、移住コンサルの現場で痛感しているのは「Henley&Partnersへの期待値と現実のギャップ」です。パスポートランキングで世界的な知名度を持つHenley&Partnersですが、ゴールデンビザや投資移住の文脈では、Henleyデメリットを正確に理解してから動かないと、取り返しのつかない損失につながります。本記事では7つの視点で実態を解説します。
Henley&Partnersとは何か:基礎と立ち位置を整理する
パスポートランキングの発行元としての役割
Henley&Partnersは、1997年創業のグローバル移住コンサルティング会社です。本社はロンドンに置き、現在50カ国以上にオフィスを展開しています。日本でも「Henleyパスポートランキング」の名で知られており、2024年ランキングでは日本が193ヶ国・地域へのビザなし渡航を可能にするパスポートとして上位に位置づけられています。
ただし重要なのは、このランキングはあくまで同社のマーケティングツールでもある点です。ランキングの注目度が高まるほど、同社の移民・投資移住コンサルへの問い合わせが増える構造になっています。情報を読む際には、この発信元の立場を念頭に置いておくべきです。
ゴールデンビザ・投資移住における同社の具体的サービス
Henley&Partnersの本業はパスポートランキングの発行ではなく、富裕層向けの市民権・居住権取得コンサルティングです。具体的には、マルタ・ポルトガル・UAE・カリブ海諸国などのゴールデンビザプログラムや投資移住プログラムへの申請代行、現地不動産の紹介・斡旋、資産再編コンサルティングを有料で提供しています。
同社の顧客層は純資産100万ドル以上のHNWI(超富裕層)が中心で、提供サービスの最低ラインとなる投資額は国によって異なるものの、50万ドル〜200万ドル規模が標準的です。この前提を知らずに「移住相談だけでもできるか」という感覚で問い合わせると、最初の段階で費用感のミスマッチが生じます。
私が500人超の相談で見てきたHenleyデメリットの実態
総合保険代理店時代・宅建士として見た富裕層の失敗パターン
私はかつて大手生命保険会社に2年、その後総合保険代理店に3年在籍し、個人事業主や資産5,000万円以上の富裕層の資産相談を多数担当してきました。その経験と、現在法人経営をしながらインバウンド民泊事業を運営する中で蓄積してきた移住相談のケースを合わせると、延べ500人を超える相談者と向き合ってきたことになります。
その中でHenley&Partnersを経由して投資移住を試みたケースは複数ありますが、事前に想定していたコスト・期間・リスクと、実際に体験した内容との間に大きなギャップを感じた方が少なくありませんでした。以下では私が把握している範囲で、そのギャップを具体的に整理します。
フィリピン購入経験者として感じた「移住コンサル費用」の重さ
私自身、現在フィリピン・オルティガスエリアのプレセールコンドミニアムを所有しています。購入を決めた時、現地エージェントと日本側の仲介それぞれに支払う手数料の積み上がり方に驚いた経験があります。フィリピンの場合、物件価格に対して5〜7%程度のコストが上乗せされる構造が一般的で、1,500万円規模の物件でも75〜105万円のコストになります。
Henley&Partnersを通じた投資移住コンサルのフィーは、これとは次元が異なります。同社のコンサルフィーは案件によって異なりますが、移民実務レポートや公開情報をもとにすると、コンサルテーション・申請サポート・デューデリジェンスを含めた総額が3万ドル(約450万円)を超えるケースは珍しくありません。現地への投資額とは別に発生するこのフィーは、資産形成の観点から見ると非常に重い出費です。
審査期間18ヶ月・ビザ廃止リスク:見えにくいHenleyデメリット
審査遅延が資産計画全体に与える連鎖的ダメージ
ゴールデンビザや投資移住プログラムの審査期間は、国や制度によって異なります。ポルトガルのゴールデンビザは一時期、申請から居住許可証取得まで平均18ヶ月前後かかるケースが続出し、申請者の間で問題視されました。この間、申請者は投資資金を拘束された状態が続きます。
仮に500万ドルを現地不動産に投下し、審査が18ヶ月停滞した場合、その資金を他の資産クラスで運用できたはずの機会コストは相当なものになります。私がAFPとして資産相談で活用するリターン試算の考え方で言えば、年率4〜6%で運用できる資産を18ヶ月ロックするコストは無視できません。Henley&Partnersを含む移住コンサルがこの点を十分に説明するかどうかは、個々の担当者によるばらつきが大きいのが現状です。
ポルトガル・スペインのビザ廃止が示す「制度リスク」の現実
2023年にポルトガル政府はゴールデンビザ制度の大幅縮小を発表し、不動産投資を通じた取得を実質的に廃止しました。スペインも2024年に同様の動きを見せ、不動産投資による居住権取得プログラムを廃止する方向で議論が進みました。これらの変更は、申請中の投資家にも影響を与えた事例があります。
Henley&Partnersはゴールデンビザプログラムの制度設計に各国政府と関わってきた経緯もありますが、制度変更のリスクをゼロにすることはできません。「ゴールデンビザがあるから安心」という前提で多額の投資を行い、制度廃止後に投資先不動産の流動性が低下した相談事例を私は複数確認しています。海外不動産は日本の宅建業法の適用外であり、現地の法律・制度変更リスクが直接影響する点を理解しておく必要があります。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点
代替手段5つの比較検証:Henleyを使わない選択肢
ドバイ・UAE居住ビザとコスト構造の違い
Henleyのデメリットを踏まえた上で、私が相談者に対して「検討する価値がある」と伝えている選択肢の筆頭がUAE・ドバイの居住ビザです。ドバイには複数の居住ビザ制度があり、フリーランスビザ・フリーゾーン法人設立ビザ・不動産購入ビザ(75万AED以上の物件保有で取得可能)など、投資規模や目的に応じた選択肢が揃っています。
コスト面で見ると、フリーゾーン法人を設立して居住ビザを取得するルートは、初期費用が概ね150〜300万円程度に収まるケースが多く、Henley経由の投資移住フィー(3万ドル超)と比較すると大幅に低い水準です。個人の状況によってコストは変わりますので、専門家への確認が不可欠ですが、選択肢として視野に入れる価値はあります。
マレーシア・タイ・フィリピンの長期滞在ビザとの比較
アジア圏への移住を検討している場合、マレーシアのMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)、タイのLTRビザ(長期居住者ビザ)、フィリピンのSRRVなども選択肢に入ります。私自身がフィリピン・オルティガスに不動産を持ち、将来的なアジア圏移住を視野に入れて情報収集している立場から言えば、これらの制度はHenleyが扱う欧米圏の投資移住プログラムよりも投資額のハードルが低く、生活コストの観点でも現実的な選択肢です。
ただし、為替リスクは各通貨で異なります。フィリピンペソ、マレーシアリンギット、タイバーツはいずれも円との為替変動があり、資産価値や生活費の円換算額は変動します。また、各国の税務・送金規制も異なるため、移住前に現地税務専門家および日本側の税理士への相談は必須です。海外不動産購入や長期滞在に伴う税務は「国によって異なります」という前提で動いてください。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点
まとめ:Henleyデメリットを踏まえた正しい移住戦略の立て方
7つのデメリットを整理する
- コンサルフィーが3万ドル超になるケースがあり、投資元本とは別に重い負担が発生する
- 審査期間が18ヶ月前後に及ぶ事例があり、その間の資金拘束による機会コストが大きい
- ポルトガル・スペインのビザ廃止に見られるように、制度変更リスクが常に存在する
- 現地不動産は日本の宅建業法の適用外であり、日本国内の不動産取引より法的保護が薄い場面がある
- 投資移住後の現地税務・日本での確定申告・CRS(共通報告基準)対応など、税務負担が複雑化する
- パスポートランキングの情報発信と移住コンサル事業が同一企業に集約されており、客観性に限界がある
- 高額な投資移住プログラムが相談者の資産規模・目的に合致しないケースで提案されるリスクがある
次のアクションとして検討すべき具体策
Henley&Partnersのサービスそのものを否定するつもりはありません。資産規模・目的・国籍の組み合わせによっては、同社が提供する投資移住コンサルが有力な選択肢の一つとなり得ます。ただし、上記7つのデメリットを事前に把握せずに動くと、数百万円以上のコストと時間を失うリスクがあります。
私がAFP・宅建士として実務でよく伝えているのは、「まず自分の資産規模・移住目的・タイムラインを整理してから、複数の選択肢を並べて比較する」というアプローチです。ドバイへの法人設立・居住ビザ取得は、その選択肢の中でもコスト効率が高く、審査スピードも比較的速いルートとして注目されています。もちろん個人差がありますし、最終的な判断は税務・法務の専門家への相談を強く推奨します。
まずは情報収集のファーストステップとして、以下のサポートサービスを確認してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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