AFP・宅建士として資産形成の相談に長年携わってきた私が、今もっとも注目しているのがHenley旅券指数の「流れ」です。単なるビザなし渡航国数のランキングではなく、国家の外交戦略・移住のしやすさ・資産分散の自由度を映す鏡として読み解くことで、2030年を目標に計画中のドバイ移住において極めて有効な判断軸になっています。この記事では7つの視点からその読み方を徹底解説します。
Henley旅券指数の基本と「流れ」を正しく理解する
ヘンリーパスポートインデックスとは何か
ヘンリーパスポートインデックス(Henley Passport Index)は、英国のコンサルティング会社Henley & Partnersが国際航空運送協会(IATA)のデータをもとに毎年更新している旅券指数です。世界199のパスポートについて、ビザなし・アライバルビザで渡航できる国・地域数をスコア化してランキングしています。
重要なのは、この指数が「現時点のスナップショット」ではなく、10年単位の「流れ」を持っているという点です。ある国のパスポートが突然50位から10位に跳ね上がることはなく、外交協定の積み上げ、ビザ免除交渉の進展、国際社会での信頼度の変化が、5〜10年という時間軸で指数に反映されていきます。資産形成の観点から見ると、この「流れ」こそが移住先の選定や二重国籍・長期滞在ビザの戦略に直結します。
指数の「流れ」を読む3つの基本軸
私がヘンリーパスポートインデックスの流れを読む際に使う軸は3つです。第一に「順位の絶対値」ではなく「前年比・5年比での変化率」、第二に「ビザなし渡航国数の純増減」、第三に「G7・GCC諸国との二国間ビザ免除協定の締結数」です。
これら3軸を組み合わせると、たとえば2024年時点でUAEのパスポートがビザなし渡航180か国以上に到達し、2014年から比較して約60か国以上増加している事実が見えてきます。この増加ペースは、G7各国と比較しても際立って速く、UAE政府による積極的な外交展開の成果が数字に出ています。単に「UAEが上がった」ではなく、「なぜ上がり続けているのか」を読む習慣が、移住戦略を考える上での土台になります。
私がフィリピン購入時に痛感した「旅券力」の重要性
マニラ新興エリアのプレセール購入で直面した現地手続き
私はマニラ近郊の新興エリアにあるプレセールコンドミニアムを取得しています。購入当時、現地での契約手続きや銀行口座の開設、デベロッパーとの折衝において、自分が日本のパスポートを持っていることが意外なほど大きな意味を持ちました。フィリピン当局の窓口で日本旅券を提示するだけで、書類審査の優先度が上がり、現地弁護士とのやり取りもスムーズに進んだ経験があります。
ただし、これは「日本旅券だから安全」という意味ではありません。宅建士として強調しておきたいのは、海外不動産の購入は日本の宅建業法の適用外であり、現地の法律・登記制度・外国人の所有権制限を必ず事前に確認する必要があるという点です。私自身、現地の弁護士費用として20万〜30万円程度を事前に予算化し、コンドミニアムユニット価格の約5〜7%をトータルの取得コストとして試算した上で判断しました。専門家への相談は必須です。
保険代理店時代の富裕層相談で気づいた「旅券戦略」の需要
総合保険代理店に在籍していた3年間、個人事業主や資産家の方々から資産相談を多数受けてきました。その中で、2020年前後から「パスポートの選択肢を増やしたい」「移住先を持つことで資産のリスク分散になるか」という質問が明らかに増加したことを肌で感じています。
当時はまだドバイ移住やUAEゴールデンビザという選択肢を具体的に提示できる環境ではありませんでしたが、富裕層の方々がヘンリーパスポートインデックスの流れを敏感に察知し、「自分の子どもに複数のパスポートオプションを持たせたい」という発想で行動していたのは印象的でした。資産と旅券は、想像以上に深くリンクしています。
UAEのパスポートが急上昇した5つの構造的理由
ゴールデンビザ制度と国際外交の相乗効果
UAE旅券の急上昇は偶然ではなく、明確な国家戦略の産物です。2019年に導入されたUAEゴールデンビザは、不動産購入・事業投資・専門スキル保有者などを対象に10年間の長期滞在権を付与する制度で、外国人の定住を促進することでUAEの経済・外交基盤を拡大させる狙いがあります。
ゴールデンビザ保有者の増加は、UAE国内の消費・不動産需要・企業設立数を押し上げ、それがGDP成長につながり、さらに他国との外交交渉力を高めるという好循環を生んでいます。2022年〜2024年の間にUAEがビザ免除協定を新たに締結した国は複数あり、アフリカ・中東・アジア諸国との関係強化が旅券指数の数字に反映されています。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点
日本旅券との比較で見える「流れ」のギャップ
日本のパスポートは長年ヘンリーパスポートインデックスの上位を維持してきましたが、2023〜2024年にかけてシンガポール・フランス・ドイツ・スペインなどと首位争いを続ける一方で、UAE旅券の追い上げが著しくなっています。2014年時点でUAEは日本より60〜70か国以上少ない渡航可能国数でしたが、2024年時点でその差は20か国程度まで縮まっています。
この「縮まる流れ」は何を意味するのか。日本旅券の価値が下がっているというよりも、UAE旅券の上昇速度が突出して速いことを示しています。資産形成の視点では、どちらの旅券を「保有・活用するか」という二項対立ではなく、「日本旅券を持ちながらUAEゴールデンビザを重ねる」戦略が現実的な選択肢として浮上してきます。為替リスクや現地法律の変化は常に存在するため、この点も後述します。
2030年ドバイ移住計画でHenley指数を活かす7視点
視点①〜④:移住タイミングと資産配置の判断軸
私が2030年を目標にドバイ移住を計画する中で、ヘンリーパスポートインデックスの流れを実際にどう使っているかを整理します。
- 視点①:UAE旅券の上昇トレンドが続くか否かを年次で追う——2025年・2026年の指数更新時にUAEのスコアが前年比プラスで推移しているかを確認し、ゴールデンビザ取得の優先度を判断する材料にします。
- 視点②:日本・UAE間のビザなし協定の継続性を確認する——現在、日本国籍者はUAEにビザなしで30日間滞在可能です。この協定が維持されているかは、移住計画の前提として毎年チェックします。
- 視点③:競合移住先(シンガポール・ポルトガル・マルタ等)の指数変動と比較する——ドバイだけでなく、他の移住先候補国の旅券指数を並列比較することで、「どこが外交的に開いているか」の全体像が見えます。
- 視点④:UAE不動産市場との連動性を読む——UAEへの海外投資家流入はゴールデンビザ制度と不動産購入の組み合わせで加速しており、旅券指数の上昇局面は不動産需要とも相関する傾向があります。ただしこれは過去の傾向であり、将来の収益を保証するものではありません。
視点⑤〜⑦:税務・法務・出口戦略の視点
移住を現実のものにするためには、旅券指数だけでなく税務・法務の裏付けが不可欠です。
- 視点⑤:UAE非課税環境の持続可能性を評価する——UAEは2023年より法人税9%を導入しましたが、個人所得税は引き続き非課税です。ただし日本の税務上の居住判定・出国税の適用可能性については、必ず税理士・専門家への相談が必要です。国によって課税ルールが異なり、二重課税防止協定の内容も確認が求められます。
- 視点⑥:海外送金・資金移動のルールを旅券と紐付けて理解する——日本からUAEへの資金移動は外国為替及び外国貿易法(外為法)の対象です。送金ルール・報告義務は金額・目的によって異なるため、専門家への確認を強く推奨します。為替リスクも常に存在します。
- 視点⑦:出口戦略としての「旅券ポートフォリオ」を設計する——日本国籍を維持しながらUAEゴールデンビザを持つことは、どちらかの国の環境が悪化した際の「逃げ道」としても機能します。私はこれを「旅券ポートフォリオ」と呼んでいます。ただし、国籍・永住権の二重保有に関するルールは個人の状況によって異なるため、行政書士・弁護士への確認が前提です。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点
Henley指数の流れをまとめ、次のアクションを考える
2030年に向けて今押さえておくべき7つのポイント
- ヘンリーパスポートインデックスは「流れ」で読むことで移住・資産分散の戦略指標になる
- UAE旅券は過去10年で急上昇しており、ゴールデンビザ制度との相乗効果が明確
- 日本旅券との「差の縮まり」は、UAE外交力の強化を示す重要なシグナル
- ドバイ移住の判断軸として、旅券指数・税務・法務・為替リスクを4点セットで評価する
- 海外不動産取得は日本の宅建業法の適用外であり、現地法律・外国人所有権制限の確認が必須
- UAE非課税環境の活用は、日本の税務居住判定・出国税との兼ね合いを専門家に確認してから判断する
- 「旅券ポートフォリオ」という発想で、複数の居住権・滞在権を組み合わせることが資産分散の一形態となる
ドバイ移住・法人設立の第一歩として活用できるサービス
私自身、2030年に向けて現在進行中でドバイへの移住・法人設立の情報収集を続けています。UAE法人の設立は、フリーゾーン(自由貿易区域)を利用することで外国人の100%所有が認められるケースがあり、個人事業主や中小法人のオーナーにとって検討する価値がある選択肢です。ただし、設立後の維持費・ライセンス更新・現地ビジネス要件は事業者ごとに異なり、個人差があります。
日本国内での法人登記との連携も含め、手続きの全体像を把握したい方には専門サービスの活用が現実的です。私も情報収集の窓口として参照しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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