AFP・宅地建物取引士として、私はフィリピンのプレセールコンドミニアムとハワイのタイムシェアを実際に保有しています。その経験から言うと、ベトナム不動産のやり方は「日本の宅建業法の常識を一度リセットする」ことから始まります。2025年の住宅法改正以降、外国人向けルールが大きく変わりました。この記事では現地視察をふまえた7手順で、外国人購入の実務を具体的に解説します。
外国人購入の基本制約7点|ベトナム不動産やり方の前提知識
2015年住宅法・2023年土地法・2025年改正で何が変わったか
ベトナムで外国人がコンドミニアムを購入できるようになったのは2015年の住宅法改正からです。その後、2023年土地法の施行と2025年の関連通達改正が重なり、現在のルールは3段階の法改正を反映した複雑な構造になっています。宅建士として国内の法改正対応には慣れていますが、ベトナムのそれは改正サイクルが速く、現地弁護士なしでの最新情報確認は実質的に難しいと感じています。
外国人が押さえるべき基本制約は以下の7点です。
- 所有形態は「土地使用権(ランドユース)」のみ。土地そのものの所有権は取得不可
- コンドミニアムの外国人所有上限:1棟あたり総戸数の30%
- 1地区(行政区)内の外国人所有戸建て・タウンハウス上限:250戸
- 所有期間:原則50年。満了時に延長申請が可能(条件付き)
- 購入資金の海外送金:ベトナム国家銀行認定の銀行口座を経由する必要あり
- 賃貸運用:外国人にも認められているが、届出・納税義務が発生する
- ピンクブック(土地使用権証明書)への外国人名義記載:取得できるケースと取得できないケースがある
特に「所有上限30%」は販売フェーズで既に達してしまうプロジェクトもあります。ホーチミン市のThu Duc(トゥドゥック)エリアや、ハノイ市西部の新開発区では、完売前に外国人枠がクローズされた事例が2023〜2024年に複数報告されています。プレセールの段階でも枠の残数確認は必須です。
ホーチミンとハノイ、購入ターゲットとしての違い
ベトナム不動産でよく比較されるのがホーチミンとハノイです。私が現地視察で感じた違いを率直に書くと、ホーチミンは「投資マインドが強い買い手が多い都市」、ハノイは「実需・エンドユーザー比率が高い首都」という印象でした。
ホーチミンはビンホーム・グランドパークをはじめとする大型開発が進み、日本人投資家にも広く知られています。一方のハノイは行政機関・国営企業の集積エリアでもあり、賃貸需要が安定しているとの評価があります。ただし、どちらの都市も「上昇傾向にある」と言われていた2021〜2023年の市況から一転、2024年以降は流動性低下と在庫増が報告されており、購入判断は慎重に行う必要があります。為替リスク(VND/JPY)と現地の金利動向についても必ず専門家に確認してください。
私がフィリピン・ハワイで学んだ「現地視察の手順」をベトナムに応用した話
フィリピンのプレセール購入で痛感した「書類の読み方」
私がフィリピン・オルティガス地区でプレセールコンドミニアムを購入した際、総額はおよそ3,500万円相当でした。当時、現地デベロッパーから提示された契約書は英語とタガログ語の併記で、宅建士として日本語の重要事項説明書の読み方には慣れていた私でも、細かい条項の解釈に相当時間をかけました。特に「コンプリーション保証」と「引渡し遅延時のペナルティ条項」は日本の不動産契約とはまったく異なる書き方をされており、現地弁護士のレビューを入れたことが後に非常に役立ちました。
ベトナムでも同じアプローチが有効です。プレセール段階の売買契約書(Sale and Purchase Agreement)は英語・ベトナム語の2言語で作成されますが、法的効力を持つのはベトナム語版です。英訳はあくまで参考資料という位置付けであることを絶対に忘れないでください。
ハワイのタイムシェア運用から得た「管理会社との交渉術」とベトナムへの転用
ハワイの主要リゾートでマリオット系タイムシェアを運用している経験から、私が強く意識するようになったのは「管理会社(またはデベロッパー)の財務健全性」です。タイムシェアの場合、管理会社が破綻すると交換プログラムそのものが機能しなくなるリスクがあります。ベトナムのコンドミニアムでも、デベロッパーの財務状況と管理会社の分離状況は、購入前に確認すべき重要なポイントです。
2022〜2023年にベトナム国内で複数の不動産デベロッパーが資金繰り難に陥り、工期が大幅に遅延したプロジェクトが報告されています。保険代理店時代に富裕層の資産相談を担当していた経験から言うと、海外不動産のデベロッパーリスクは「国内の生命保険会社の格付け確認」と同じ感覚で行うべきです。デベロッパーの上場有無、過去プロジェクトの完工実績、エスクロー口座の有無を必ず確認してください。
契約書チェック5論点|プレセール購入で見落としがちな落とし穴
売買契約書に必ず盛り込むべき5つの条項
宅建士として国内の不動産契約書を数多く確認してきましたが、ベトナムの売買契約書は日本の宅建業法が定める様式とはまったく別物です。日本の宅建業法の適用外であることを明示したうえで、私が外国人購入者として重視する5つの論点を整理します。
- 完成・引渡し期限の明記:プレセールでは「予定日」しか記載されないケースがある。延滞ペナルティの利率と上限額を数値で確認する
- 外国人所有枠の確保条項:契約時点で外国人枠が確保されているかをデベロッパーに書面で確認する
- 支払スケジュールとエスクロー:手付金以降の分割払いが第三者機関(銀行など)に保全されているかを確認する
- ピンクブック取得の責任所在:「デベロッパーが申請する」と口頭で言われても、契約書に明記されていなければ法的拘束力はない
- 解約・返金ルール:工期遅延が一定期間を超えた場合の解約権と返金スケジュールを数値で規定しているかを確認する
これらの確認は現地の不動産専門弁護士(ベトナム語対応)に依頼することを強く推奨します。費用は一般的に数万円〜十数万円程度ですが、契約後のトラブルコストと比較すれば十分に価値ある投資です。個人差はありますが、弁護士費用を節約して後悔した事例は、私が保険代理店時代に相談を受けた富裕層の中でも複数ありました。
「公証」と「翻訳認証」がベトナムでは特に重要な理由
ベトナムでは、外国人が不動産を取得する際に提出するパスポートや委任状は、公証(Notarization)と認証翻訳(Certified Translation)の両方が要求されます。日本で取得した公文書をベトナムで使う場合は、アポスティーユ(外務省認証)を経由した後、ベトナム語の認証翻訳が必要になるケースがほとんどです。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
この手続きを省略または不備のまま進めると、登記申請段階で書類が却下され、引渡しが大幅に遅れるリスクがあります。手続きの詳細は在ベトナム日本大使館のウェブサイトや、現地の信頼できる日系弁護士事務所に必ず確認してください。国によって手続きが異なりますので、専門家への相談を推奨します。
送金と決済の実務|外国為替・ベトナム銀行口座・税務の3ステップ
日本からベトナムへの資金送金で踏むべきステップ
ベトナムの外国人不動産購入において、決済資金の送金は思ったより複雑です。まず、外国人投資家はベトナム国内の認定銀行(国家銀行ライセンス保有行)に外貨口座を開設し、そこを経由して決済することが求められます。日本円やUSドルで送金し、現地でVNDに換金する流れが一般的ですが、為替レートのタイミングと換金手数料が最終コストに直結します。
私がフィリピンでプレセール決済を行った際も、外貨送金のタイミングで為替差が数十万円単位で変動しました。為替リスクは海外不動産取引において回避できない要素であり、ベトナム不動産でも同様です。送金実行前に税理士または金融機関に相談し、資金移動の記録を必ず保全してください。海外送金・税務は国によって異なりますので、専門家への相談が不可欠です。
日本の税務申告|海外不動産所得と確定申告の実務ポイント
日本居住者がベトナム不動産から賃料収入を得た場合、日本での確定申告が必要です。AFPとして資産形成の相談を多数担当してきた経験から言うと、この点を見落としている投資家は少なくありません。賃料収入は「不動産所得」として日本の所得税・住民税の課税対象となり、ベトナムで源泉徴収された税額は外国税額控除の対象になる可能性があります。
ただし、外国税額控除の計算は複雑で、ベトナムの課税ルールと日本の課税ルールの両方を理解している税理士でなければ正確な申告は難しいと考えます。購入検討段階から税務の専門家を巻き込むことが、結果的にトータルリターンを高める選択肢の一つです。課税ルールが日本と異なることを前提に、購入前に必ず税務専門家に相談してください。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
まとめ+CTA|ベトナム不動産のやり方を7手順で実行する前に確認すべきこと
購入前チェックリスト:7手順の要点整理
- 手順1:法規制の最新確認 2025年改正通達を含む外国人所有制限を現地弁護士に確認する
- 手順2:エリア選定 ホーチミン・ハノイ・ダナンそれぞれの外国人枠残数・賃貸需要・流動性を比較する
- 手順3:デベロッパー調査 上場有無・完工実績・財務状況・エスクロー有無を書面で確認する
- 手順4:現地視察 プレセール段階でも必ず現地に足を運び、周辺インフラ・管理状況を自分の目で確認する
- 手順5:契約書レビュー ベトナム語版契約書を現地弁護士にレビューさせ、5つの重要条項を確認する
- 手順6:送金・決済 認定銀行口座の開設・外貨送金の記録保全・為替リスクの許容範囲を事前に設定する
- 手順7:登記・税務申告 ピンクブック取得の責任所在を確認し、日本での確定申告を税務専門家に依頼する
不動産トラブルが起きた時・起きる前に相談すべき窓口
ベトナム不動産のやり方を7手順で整理してきましたが、現実には「契約後にデベロッパーが連絡を絶った」「ピンクブックが発行されない」「賃貸管理会社が収益を送金してこない」といったトラブルが日本人投資家の間でも報告されています。私自身、フィリピンの物件でも引渡し遅延の経験があり、トラブル発生時の相談先を事前に確保しておくことの重要性を痛感しています。
国内の不動産取引においても、専門家への相談なしに進めて後悔するケースは数多く存在します。海外不動産はその性質上、現地法律・為替・送金規制・税務の複数のリスクが重なります。個人差はありますが、事前の相談コストが後のトラブル対応コストを大幅に下回るケースが多いと、保険代理店時代の富裕層対応の経験からも感じています。購入前・購入後を問わず、不動産に関する相談は専門機関を活用することを推奨します。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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