プレセール事例を探しているあなたに、私の実体験を正直に話します。私はAFP・宅建士として国内外の不動産に関わりながら、フィリピン・オルティガスでプレセールコンドミニアムを実際に保有しています。本記事では購入価格約3,500万円の内訳から完成遅延リスク、為替変動の影響まで、3つのプレセール事例を通じて海外不動産の実態を解説します。
プレセールとは何か——プレビルドの仕組みと日本との違い
プレセール(プレビルド)の基本構造
プレセールとは、建物が完成する前の段階で売買契約を締結し、分割払いで購入代金を支払っていく不動産取引の形態です。フィリピンでは「プレビルド」と呼ばれることが多く、完成の3〜5年前から販売が開始されるケースが一般的です。
購入者は通常、予約金として総額の数パーセントを支払い、その後2〜3年かけて頭金部分(総額の20〜30%程度)を月払いします。残金はローンまたは完成時一括払いで精算する流れが多い。日本のマンション販売でも竣工前販売はありますが、フィリピンのプレセールは支払い期間の長さと手付金の少なさが大きく異なります。
日本の宅建業法との違いを宅建士の視点で整理する
私は宅地建物取引士の資格を持っていますが、海外不動産は日本の宅建業法の適用外です。これは非常に重要なポイントで、日本国内の不動産取引で義務づけられている「重要事項の書面交付」や「クーリングオフ制度」が、フィリピンでの取引には直接適用されません。
フィリピンには独自の不動産規制機関(HLURB、現在はHDMF管轄のDHSUD)が存在し、デベロッパーの登録義務やキャンセル規定(R.A. 6552、通称Maceda Law)が定められています。ただし法律の運用実態は日本と異なるため、取引前に現地の弁護士や専門家への相談を強くお勧めします。
私がオルティガスでプレセールを購入した経緯——実体験の全貌
購入を決断するまでの検討プロセス
私がフィリピン・オルティガスのプレセールコンドミニアムを購入したのは2022年のことです。当時、東京でインバウンド民泊事業を運営しながら、アジア圏への海外移住計画を具体化しようとしていました。大手生命保険会社と総合保険代理店で計5年間、個人事業主や富裕層の資産相談に携わってきた経験から、「資産を一国に集中させないことの重要性」を身をもって理解していました。
オルティガスを選んだ理由は三つです。まずマカティに次ぐビジネス地区として開発が進んでいたこと。次に、BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)との中間に位置し、テナント需要が見込まれる立地であったこと。そして私自身が現地を複数回視察し、エリアの生活インフラをある程度確認できたことです。物件価格は約3,500万円(当時レートで換算)で、完成予定は2029年です。
購入価格3,500万円の内訳——支払いスケジュールの実態
約3,500万円という購入価格の内訳を整理すると、予約金が約35万円(総額の約1%)、頭金として総額の20%にあたる約700万円を2023〜2025年の3年間で月払い、残金の80%にあたる約2,800万円を完成時に一括またはローンで支払う構成です。
月々の頭金支払額は約19,000ペソ(当時レートで約42,000円)でした。この支払いが比較的小さく見える点がプレセールの魅力であり、同時に落とし穴でもあります。完成時の残金支払いや為替レートの変動によって、実質的な総支払額が大きく変わるリスクがあるからです。為替リスクについては後のセクションで詳しく触れます。
プレセール事例3件——タイプ別に見る購入後の展開
事例①:オルティガス・プレセール(私の保有物件)完成前の現状
私自身の保有物件(事例①)は2029年完成予定で、現在2025年時点では建設が進行中です。2024年に現地を訪問した際、基礎工事から躯体工事への移行フェーズにあることを確認しました。デベロッパーからの進捗レポートは四半期に一度メールで届きますが、写真と簡易な工程表のみで詳細は乏しい。
現時点での評価として、購入時点と比較してフロアプライスが約15〜18%上昇しているとデベロッパーの資料には記載がありますが、これはあくまでデベロッパー側の提示価格であり、実際の流通市場での売却価格とは差が生じる可能性があります。プレセールの含み益は完成・引渡し・売却が完了するまで確定しないという点を常に意識しています。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版
事例②・③:保険代理店時代に相談を受けた富裕層のプレセール事例
総合保険代理店に勤務していた時代、富裕層顧客から海外不動産の資産相談を複数担当しました。そのうち印象的な2件を事例②・③として紹介します(個人情報保護の観点から詳細は変更しています)。
事例②は、マニラ首都圏の別エリアで2017年頃にプレセールを購入した50代の経営者です。2020年に完成・引渡しを受けたものの、コロナ禍でテナントがつかず、2021〜2022年の2年間は空室が続きました。管理会社との連絡が取りにくくなる時期もあり、賃料収入はゼロながら管理費の支払いは継続するという状況に陥りました。最終的には現地の日系エージェントを通じて入居者を確保しましたが、想定利回りを大きく下回る期間が生じたことは事実です。
事例③は、別のフィリピン新興エリアで2019年にプレセールを契約した40代の個人投資家です。完成予定の2023年を過ぎても引渡しが行われず、2025年現在も工事が継続中というケースです。デベロッパーは「資材費高騰・労務費上昇」を理由に挙げており、Maceda Lawに基づくキャンセル手続きも選択肢に挙がっていますが、払い込み済みの頭金返還には時間がかかると聞いています。
完成遅延リスクと為替変動——プレビルド特有の2大リスク
完成遅延はフィリピン不動産では「想定内」として備える
事例③のような完成遅延は、フィリピン不動産市場では珍しくありません。現地のデベロッパー事情、天候・自然災害リスク、建設資材の輸入依存度の高さなど、遅延要因は複合的です。私自身の物件(事例①)も2029年完成予定ですが、1〜2年程度の遅延は計画に織り込んでいます。
対策として私が実践しているのは、(1)デベロッパーの過去竣工実績を事前に確認すること、(2)売買契約書に遅延に関するペナルティ条項が含まれているかを確認すること、(3)遅延が生じた場合のキャッシュフロー計画を複数シナリオで用意することです。宅建士としての経験から言うと、契約書の細部を読み解く習慣は海外不動産でも有効です。ただし現地の法律用語は日本とは異なるため、現地弁護士のレビューは必須と考えています。
為替変動が利回りに与える影響——ペソと円の現実
2022年の私の購入時、フィリピンペソは1ペソ=約2.4円前後で推移していました。2024〜2025年にかけて円安が進行し、1ペソ=2.8〜3.0円程度の水準になる局面もありました。これは円ベースで見た場合、購入コストが実質的に上昇したことを意味します。
逆に将来円高に転じた場合、ペソ建ての売却益を円換算すると目減りするリスクがあります。例えば、ペソ建てで20%の価格上昇があっても、円高で1ペソ=2.0円まで進んだ場合、円ベースの手取りは購入時より減少する可能性があります。海外不動産投資では為替リスクを切り離して考えることはできません。資産の一部を外貨建てで持つ意義は認めつつも、為替ヘッジの手段が限られる個人投資家にとって、これは無視できないリスクです。国・通貨・税務のルールは状況によって大きく異なりますので、海外送金や税務申告については必ず専門家にご相談ください。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例
まとめ——プレセール事例から学ぶ海外不動産の現実とCTA
3つの事例が示す共通点と個別リスク
- プレセールは完成前購入ゆえの価格メリットがある一方、完成遅延・デベロッパーリスク・為替変動という3つのリスクが常に存在する
- 事例②のように完成後も空室リスクがあり、想定利回りはあくまで「期待値」であって保証ではない——個人差があります
- 事例③のように引渡しが2年以上遅延するケースは珍しくなく、資金計画に十分な余裕を持つことが重要です
- 日本の宅建業法はフィリピンでの取引に適用されないため、現地法律・Maceda Law・デベロッパーの登録状況を事前に確認することが不可欠です
- ペソ建て資産は円高局面で円ベースの評価額が下落するリスクがあり、為替動向を定期的にモニタリングする姿勢が求められます
- 海外不動産の税務(フィリピン側の課税・日本側の確定申告)は国によってルールが異なるため、税理士・FPへの相談を強くお勧めします
不動産トラブルを未然に防ぐために——専門家相談の活用
私がAFP・宅建士として多くの資産相談に関わってきた経験から言うと、海外不動産のトラブルは「情報の非対称性」から生まれることが多い。現地デベロッパーとの交渉、購入後の管理、将来的な売却やキャンセルの局面では、国内外の専門家サポートが大きな差を生みます。
特に不動産の査定や権利関係の整理については、第三者的な立場から公平に判断してくれる機関を利用することが、私が実務で学んだ重要な教訓の一つです。プレセールを含む海外不動産の取引を検討している、あるいはすでに保有していてトラブルを抱えているという方は、以下のリンクから専門家への相談を検討してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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