ベトナム不動産デメリット7つ|宅建士が現地視察で見た落とし穴

AFP・宅建士として10年近く国内外の不動産・資産形成に関わってきた経験から言うと、ベトナム不動産のデメリットは「知ってから入る」と「知らずに入る」とでは、結果が天と地ほど違います。私自身、フィリピンでプレセールコンドミニアムを購入した経験を持つ立場として、ベトナム市場についても現地視察を重ねてきました。本記事では海外不動産投資における7つの落とし穴を、法律・税務・実務の観点から整理します。

デメリット①②:外国人所有50年制限と更新リスク

外国人がベトナム不動産を「所有」できる範囲の実態

ベトナムでは2015年の住宅法改正により、外国人および外資系企業がコンドミニアムなどの区分所有物件を取得できるようになりました。ただし、この「所有」は土地使用権ではなく建物の使用権であり、保有期間は原則50年(更新申請で延長可能)に制限されています。

日本の不動産を「所有」するイメージで購入すると、この制約が後になって重くのしかかります。土地そのものは国家所有であり、外国人が取得できるのはあくまでも「使用する権利」です。日本の宅建業法における所有権移転とは法的性質が根本的に異なる点を、まず理解しておく必要があります。

さらに、一つのプロジェクトで外国人が取得できる戸数は全体の30%以内という上限規制があります。人気物件では枠がすぐに埋まるため、プレセール段階で早期に押さえる動きが生まれますが、その分リスクも高まります。

50年後の更新申請が「できるとは限らない」問題

現行制度では50年経過後に更新申請ができると規定されていますが、更新が認められる保証はありません。2024年時点でのベトナム政府の方針では更新を認める方向性は示されているものの、法律や政策は変わりうるものです。

50年後の制度を現在の文言だけで判断するのは危険です。私が保険代理店時代に担当した富裕層の相談者の中にも「老後の資産として子どもに残したい」という意向でベトナム物件を検討していた方がいましたが、相続・承継の面でも外国人所有の制約が複雑に絡むため、慎重な検討が必要だとお伝えしました。海外不動産の相続については、現地の弁護士と日本の税理士の両方への相談を強く推奨します。

デメリット③④:ピンクブック発行遅延とプレセールの完成リスク(筆者の実体験と比較)

フィリピンのプレセール購入経験から見えたベトナムとの違い

私は実際にフィリピン・オルティガスエリアで新興エリアのプレセールコンドミニアムを購入しています。購入価格は日本円換算でおよそ1,200万円台、頭金を現地通貨建てで支払い、残金はフィリピン国内の銀行ローンを組みました。この経験があるからこそ、ベトナムのプレセールリスクを他人事として語れません。

フィリピンでも竣工遅延は珍しくなく、私が契約した物件も当初予定から約8カ月ほど引き渡しが遅れました。ベトナムでは同様の遅延が頻繁に報告されており、さらに深刻なのが「ピンクブック(所有権証明書)」の発行遅延です。物件が完成・引き渡されても、ピンクブックが出るまで数年かかるケースが報告されています。ピンクブックなしでは、物件を転売することも担保に入れることも事実上できません。

フィリピンでは「コンドミニアム証書(CCT)」が対応書類にあたりますが、手続きの透明性や発行スピードはデベロッパーの規模・信頼性によって大きく差があります。ベトナムでは国の行政手続きのスピードも変数となるため、リスクの層がさらに一段増えます。

プレセール特有の「完成しない」「仕様変更」リスク

プレセールは竣工前に売り出す分譲形態であり、完成予想図と実際の仕様が異なることがあります。ベトナムでは2022年〜2023年にかけて大手デベロッパーの資金繰り悪化が相次ぎ、工事が一時停止した物件も出ました。

海外不動産投資において、デベロッパーの財務状況の確認は必須です。具体的には、エスクロー口座(第三者預託)が設定されているか、施工保証がどこまでカバーされているか、契約書に遅延ペナルティ条項があるかを確認します。日本の宅建業法では手付金保全措置が義務化されていますが、ベトナムにはそのような制度が十分に整備されていないため、自衛策を取る必要があります。個人差はありますが、こうした調査に慣れていない方は、現地の信頼できる弁護士への依頼を強く推奨します。

デメリット⑤⑥:海外送金規制と出口戦略の難しさ

売却代金をベトナム国外に送金する際の規制と手数料

ベトナムでは外国人が物件を売却した際、その売却代金を国外に送金するには、正規の手続きを踏む必要があります。外貨管理法に基づき、送金には商業銀行を通じた証明書類の提出が求められ、手続きの煩雑さと時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。

また、送金する際には為替リスクが必ず生じます。ベトナムドン(VND)は管理変動相場制を採っており、米ドルとの連動性が高い一方で、急激な変動リスクはゼロではありません。購入時と売却時の為替差によっては、物件価格が上昇していても円換算での手取り額が目減りする可能性があります。為替リスクは海外不動産投資において常に考慮すべき要素です。アブダビ不動産投資の実体験|宅建士が5つの判断軸で検証した2027年版

税務面では、ベトナムでは外国人の不動産売却益に対して課税が行われますが、税率・申告方法は制度変更の可能性があります。さらに日本居住者であれば日本での確定申告も必要となり、二重課税の問題が生じることもあります。国によって課税ルールが異なるため、日本の税理士と現地の税務専門家への相談が不可欠です。

流動性の低さと買い手探しの現実

ベトナム不動産の出口戦略で特に難しいのが「買い手を見つけること」です。外国人が購入できる戸数に上限があるため、外国人への転売も制限されます。現地ベトナム人を買い手とする場合、価格交渉力が相手側に傾きやすく、希望価格での売却が難しいケースもあります。

私がハワイのタイムシェアを保有している経験からも感じますが、不動産系の資産は「売りたい時にすぐ売れる」とは限りません。タイムシェアはとりわけ流動性が低い資産の典型例ですが、ベトナムのコンドミニアム市場も、特に地方都市や新興エリアでは同様の傾向があります。海外不動産投資を検討する際は、購入と同時に「どうやって売るか」を考えることが重要です。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例

デメリット⑦:現地視察で気づいた管理・生活インフラのリスク

管理組合・管理会社の質がバラつく問題

現地視察で強く感じたのは、管理体制の質のバラつきです。ハノイやホーチミンの主要エリアでは大手デベロッパーが管理会社を自社グループで運営しているケースが多く、一定の水準は保たれています。一方、郊外の新興エリアでは管理費の使途が不透明だったり、修繕積立金の概念が十分に機能していなかったりする物件も見受けられました。

日本では区分所有法・マンション管理適正化法が管理組合・管理会社の運営を規律していますが、ベトナムにはこれに相当する整備が十分ではありません。遠隔地からオーナーとして管理に関与することはさらに難しく、現地に信頼できる代理人や管理会社を確保することが実務上の課題になります。

法律改正リスクと外国人規制の強化懸念

ベトナムは経済成長著しい国ですが、不動産関連法制は継続的に改正が行われています。2024年施行の改正住宅法では外国人所有に関するルールが一部見直されましたが、今後も変更が続く可能性は十分あります。政治的な判断で外国人の所有制限が強化された場合、既存の物件保有にも影響が出うるリスクは排除できません。

海外不動産投資全般に言えることですが、現地の政治・経済状況を継続的にモニタリングし、法律改正の情報を収集し続けることが必要です。私のように現地に頻繁に足を運べない方は、信頼できる現地エージェントや弁護士との継続的な関係構築が、リスク管理の観点から有効な選択肢の一つです。

まとめ:7つのデメリットを整理し、不動産トラブルの備えを

ベトナム不動産デメリット7つの一覧

  • ①外国人所有は50年の使用権に制限され、更新も保証されていない
  • ②一プロジェクトで外国人が取得できる戸数が全体の30%以内に制限される
  • ③ピンクブックの発行が大幅に遅延し、転売・担保設定ができない期間が生じる
  • ④プレセールの完成リスク・仕様変更リスクがあり、デベロッパー財務の確認が必須
  • ⑤売却代金の海外送金に手続き的ハードルがあり、為替リスクも常に存在する
  • ⑥流動性が低く、売却時に買い手探しが難航する可能性がある
  • ⑦管理体制の質のバラつきと、今後の法律改正リスクがある

トラブルが起きた時の備えとアフィリリンクのご案内

ベトナム不動産のデメリットを整理すると、「知識のある人間が入念に準備する」ことで回避できるリスクと、「構造的な制度上のリスク」とが混在していることがわかります。私はAFP・宅建士として、海外不動産には国内不動産と同水準以上のデューデリジェンスが必要だと考えています。

特にプレセールやピンクブック遅延の問題は、購入後に発覚すると自力での解決が困難です。すでにベトナム不動産を保有していてトラブルを抱えている方、あるいは購入後の対応に困っている方は、不動産の専門機関への相談が有効な手段の一つです。海外不動産は日本の宅建業法の管轄外ですが、トラブル解決のノウハウを持つ専門機関は存在します。個人の状況によって対応策は異なりますので、まず専門家への相談から始めることを推奨します。

海外送金・税務については「国によってルールが異なる」ため、日本の税理士と現地専門家の双方に相談してください。

【一般社団法人が提供する公平な不動産査定】トラブル解決協会

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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