海外不動産 償却4年 改正後の実例|宅建士が3物件で検証

AFP・宅建士として複数の海外不動産を保有する私が、2020年税制改正後の「海外不動産 償却 4年 改正後 実例」を3物件ベースで徹底検証します。簡便法による短期償却スキームが封じられた今、節税の設計図は根本から書き直す必要があります。この記事では計算実例と私自身が直面した盲点を、実務視点でそのまま公開します。

4年償却改正の背景と要点――何が変わり、何が残ったか

2020年改正が狙い撃ちした「簡便法×海外中古」スキーム

2020年度税制改正(令和2年)以前、国外中古建物の減価償却には「簡便法」が広く使われていました。簡便法とは、法定耐用年数を超えた建物に対して「耐用年数×20%」で算出した短い償却年数を適用できる仕組みです。木造なら法定22年を超えた中古物件に4年の耐用年数が認められるため、取得価格の大半を4年で費用計上できました。

この仕組みを使えば、たとえば取得価格3,500万円の海外中古木造物件を4年間で全額償却し、日本の給与所得や事業所得と損益通算することで多額の還付を受けることが可能でした。合法的な節税策として富裕層に広まりましたが、国税庁はこれを「租税回避」と認定し、改正に踏み切りました。

改正の核心は「損益通算の制限」です。国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、国外中古建物の減価償却費相当額については、他の所得との損益通算が認められなくなりました。ただし、翌年以降の国外不動産所得内での内部通算は可能です。また、改正は2021年分の確定申告から適用されている点も重要です。

「4年償却」自体は消えていない――勘違いしやすいポイント

誤解されやすいのですが、簡便法による4年償却という計算手法そのものが廃止されたわけではありません。国外中古建物に対して4年の耐用年数を適用して減価償却費を計算すること自体は今も可能です。

変わったのは、その減価償却費が生み出した「赤字(損失)」を、給与所得や事業所得と損益通算できなくなった点です。具体的には、国外中古建物の不動産所得がマイナスになった場合、そのマイナス額のうち「当該物件の減価償却費相当額」は損益通算の対象外とされます。改正前と改正後では、同じ4年償却でも節税効果のメカニズムが根本的に異なります。

この違いをしっかり把握せずに「海外中古を買えば節税になる」と思い込んでいる方が今でも散見されます。私が保険代理店に勤務していた頃、富裕層のお客様から「昔の担当者に勧められたスキームが使えなくなった」という相談を複数受けた経験があります。改正の実態を正確に理解することが、今後の戦略構築の出発点です。

私が3物件で直面した盲点――フィリピンとハワイの現実

フィリピン・オルティガスのプレセール物件で気づいた償却設計の難しさ

私がフィリピン・マニラ新興エリアのプレセールコンドミニアムを購入したのは数年前のことです。購入価格はおよそ3,500万円相当(ペソ建て)で、竣工前の段階払いが中心でした。プレセール物件の特徴は、竣工・引き渡し前は「資産」として確定しておらず、日本の税務上の減価償却を開始できない点にあります。

つまり、私の場合、契約から実際に償却を開始できるまでに2〜3年のタイムラグが生じました。4年償却スキームを前提に節税計画を立てていると、このタイムラグで計画が大きくずれます。加えてフィリピンのコンドミニアムは鉄筋コンクリート造が主流で、RC造の法定耐用年数は47年。簡便法を適用しても、耐用年数を大幅に超えた中古物件でなければ4年にはなりません。新築・築浅プレセール物件は短期償却の対象外という現実に、購入後に改めて気づきました。

さらに、フィリピンの賃料収入は現地通貨ペソで受け取るため、為替リスクが常に存在します。円安局面では円換算の収益が増えますが、円高に振れれば逆効果です。海外不動産の税務設計は、為替変動も織り込んで考えなければならないと痛感しています。

ハワイのタイムシェア型不動産で学んだ「建物割合」の罠

私が保有するハワイの主要リゾートエリアのタイムシェア物件は、マリオット系のブランドに属します。タイムシェアは「不動産の持分権」として日本の税法上も一応は不動産扱いになりますが、減価償却の計算において大きな壁があります。それは「土地と建物の割合分離」です。

ハワイは土地値が非常に高い地域です。取得価格に占める土地割合が70〜80%に達するケースもあります。減価償却できるのは建物部分のみですので、たとえ簡便法で短い耐用年数を使えたとしても、償却の基礎となる金額が小さく、節税効果は限定的になります。私のケースでも、建物割合を保守的に算定した結果、年間の償却額は期待値を大きく下回りました。

また、タイムシェアは自己利用と貸付の用途が混在するため、事業用・自己使用の按分計算も必要です。この按分を誤ると税務調査のリスクが高まります。海外不動産の減価償却は「買えばすぐに節税」とは程遠く、物件の構造・土地建物割合・用途割合の3点を事前に精査することが欠かせません。個人の状況により結果は大きく異なりますので、必ず税理士への相談をお勧めします。

改正後の計算実例3パターン――数字で見る節税効果の変化

パターン①:木造中古×給与所得者(改正前後の比較)

改正前の典型スキームを数字で示します。取得価格2,000万円の海外中古木造建物(築25年超)を購入した給与所得者(課税所得800万円)が、簡便法4年償却を適用した場合、年間の減価償却費はおよそ500万円(2,000万円÷4年)です。賃料収入が年100万円であれば不動産所得は▲400万円となり、改正前は給与所得800万円と損益通算することで、最大で約160〜180万円の所得税・住民税還付が期待できました(税率40〜45%帯の場合)。

改正後は同じ計算をしても、▲400万円のうち減価償却費相当額の500万円(ただし損失上限は実際の損失400万円)は損益通算の対象外です。結果として給与所得との通算ゼロ、節税メリットは実質的に消滅します。4年間で得られた合計節税額が、改正前の約640〜720万円から改正後はほぼゼロになるという大きな差が生まれます。

パターン②:RC造新築×事業所得者/パターン③:内部通算の活用

パターン②として、RC造新築の海外物件を取得した事業所得者のケースを考えます。新築RC造の耐用年数は47年で、簡便法を適用できる状況にありません。取得価格3,500万円なら年間償却額は約74万円(3,500万円÷47年)です。賃料収入が年200万円なら不動産所得は約126万円のプラスになり、そもそも損失は発生しません。この場合、改正の影響はなく、通常の所得として申告します。

パターン③は、複数の国外不動産を保有している場合の「内部通算」の活用です。改正後も、国外中古建物の損失は他の国外不動産所得とは通算できます。たとえば私がフィリピン物件で▲100万円の損失(償却費起因)が生じ、別の海外物件で+150万円の黒字があれば、差し引き50万円の所得として申告できます。複数物件でポートフォリオを組む投資家には、この内部通算が現実的な節税手段の一つとなります。ただし計算は複雑になるため、専門家への確認は必須です。売掛金 早期回収 方法7選|AFP宅建士が500人相談で導いた実例

宅建士が見る今後の節税策――改正後の現実的アプローチ

「キャピタルゲイン型」への戦略転換が有力な選択肢

改正によって短期償却による所得税還付スキームが封じられた今、海外不動産への関わり方として有力な選択肢の一つがキャピタルゲイン(売却益)狙いへの転換です。フィリピン・ベトナム・マレーシアなどアジア新興国の主要都市では、経済成長とともに不動産価格の上昇傾向が続いているエリアがあります(将来の価格上昇を保証するものではありません)。

私がフィリピン・オルティガスのプレセールを選んだ理由の一つも、竣工時の値上がり期待でした。ただし売却益が生じた場合、日本居住者は日本での確定申告が必要であり、現地でも売却税(フィリピンならCapital Gains Tax 6%等)が課されます。二重課税の可能性があるため、租税条約の適用有無を事前に確認し、税理士と連携することが不可欠です。為替リスクについても、売却時の為替レートによって円換算の利益額が大きく変わる点を忘れないでください。

法人スキームと長期保有による実質節税の再設計

もう一つの有力な選択肢として、法人を通じた海外不動産保有があります。私自身、現在東京都内で法人を経営しており、法人名義での資産保有と個人保有の違いを実務的に認識しています。法人の場合、減価償却費は損金算入できますが、その損失が他の所得と通算できる構造は個人とは異なります。法人独自のメリットとデメリットがあり、一概に「法人の方が有利」とは言えません。

長期保有戦略では、毎年の減価償却費を建物の帳簿価額の減少に活用し、売却時の取得費(帳簿価額)との差額で課税計算をする仕組みを意識します。短期で売却すれば譲渡所得の税率が高くなるため、5年超保有による長期譲渡所得の適用(日本税法上の区分)も視野に入れるべきです。海外送金・税務申告のルールは国によって異なります。必ず専門家への相談を行ってください。海外移住オーストラリア不動産賃貸比較|宅建士が検証した5判断軸

改正後の物件選び5基準――まとめとCTA

宅建士・AFPとして私が重視する5つの選定基準

  • ①構造と耐用年数の確認:RC造・木造・軽量鉄骨の別と建築年を確認し、日本の法定耐用年数・簡便法適用可否を事前に試算する。新築・築浅物件は短期償却が期待できない点を前提に計画を立てる。
  • ②土地建物割合の精査:特にハワイ・シンガポールなど土地値が高い地域では、建物割合が取得価格の20〜30%にとどまるケースがある。償却の基礎となる金額を取得時に算定しておく。
  • ③為替リスクのシナリオ設計:賃料収入・売却代金はすべて外貨建て。円高・円安の両シナリオで収支計算を行い、キャッシュフローが成立するかを確認する。為替ヘッジのコストも考慮に入れる。
  • ④現地の法規制・送金規制:フィリピンはコンドミニアムの外国人所有比率上限(40%)がある。ベトナムは外国人の土地所有が認められないなど、国ごとのルールは大きく異なる。宅建業法は国内不動産に適用され、海外不動産には直接適用されないが、現地法の調査は徹底すること。
  • ⑤出口戦略(売却・相続)の事前設計:海外不動産の売却は現地業者への依頼が基本となり、日本のような流動性がないケースも多い。相続時の現地法適用・日本の相続税申告の両面を想定し、弁護士・税理士と事前に確認しておく。

改正後の海外不動産と向き合うための正しい姿勢

海外不動産 償却 4年 改正後 実例を3物件で検証してきた私の結論は、「短期償却で節税を取りに行く時代は終わった。今は実質収益とキャピタルゲインで設計し直す時代だ」というものです。改正前のスキームに乗っかってきた方が今後も同じ感覚で物件を選ぶと、想定外の税負担や資金繰りの悪化を招くリスクがあります。

私自身、フィリピンの物件では竣工遅延・為替変動、ハワイの物件では建物割合の低さという現実を直接経験しています。海外不動産は現地法律・為替・税務の3つのリスクが常に絡み合っており、日本国内の不動産とはまったく異なる専門知識が必要です。保険代理店時代に富裕層の資産相談を担当してきた経験からも、「何となく節税になるから」という動機で購入した方ほど後悔しているケースが多いと感じます。

物件の評価・売却・トラブル解決においては、公平な立場からのアドバイスを得ることが大切です。不動産関連のトラブルや適切な査定を必要とする方には、一般社団法人が提供する第三者的な相談窓口の活用を検討する価値があります。個人差がありますので、必ず専門家への相談を行ったうえで判断してください。

【一般社団法人が提供する公平な不動産査定】トラブル解決協会

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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