投資永住権比較7か国|AFP宅建士が検証した2027年版

投資永住権の比較に真剣に向き合ったのは、私自身が2031年を目標にアジア圏への海外移住を計画し始めた2023年のことでした。AFP・宅建士として富裕層の資産相談を数多く担当してきた私でも、制度の複雑さには正直戸惑いました。この記事では、7か国の投資永住権を4つの軸で整理し、実務経験から見えた「使える選択肢」と「罠になる条件」を率直に解説します。

投資永住権比較の4基準|選び方を間違えると後悔する理由

なぜ「投資額だけで比べる」のが危険なのか

保険代理店時代、富裕層の資産相談で海外移住を検討する方と何度も話してきました。そこで気づいたのは、「安い投資額で取れる国があるから」という理由だけで制度を選ぶ方が、取得後に想定外のコストや条件に直面して困るケースが少なくないということです。

投資永住権を比較するなら、私は必ず4つの軸を使います。①投資額と投資形態、②取得までの期間と手続きの透明性、③税制上の扱いと日本との二重課税協定の有無、④家族を帯同できるかと滞在義務の厳しさ、この4点です。どれか一つが欠けても、生活実態とのズレが生じます。

ゴールデンビザとCBIは根本的に別物として考える

「ゴールデンビザ」と「CBI(シチズンシップ・バイ・インベストメント)」は混同されがちですが、仕組みが異なります。ゴールデンビザは居住権(永住権や長期ビザ)を投資で取得するもので、国籍は取得しません。CBI比較で語られるプログラムは、投資によって直接その国の国籍を取得できる制度です。

どちらが優れているという話ではなく、目的次第で選ぶ制度が変わります。節税目的で居住実態を作りたいならゴールデンビザ系、パスポートの渡航力強化が目的ならCBIという整理が実務的です。私自身の移住計画では、日本国籍を保持したまま居住拠点を移すことを前提にしているため、まずゴールデンビザ系を中心に検討しています。

私がフィリピン購入と富裕層相談で学んだ「制度の実態」

フィリピンでのプレセール購入が教えてくれた「法制度リスク」の現実

私はフィリピン・オルティガスエリアのプレセールコンドミニアムを実際に取得しています。購入を決めた当時、現地デベロッパーとの契約プロセスで痛感したのは、日本の宅建業法が当然のように整備している「重要事項説明に相当する開示義務」が、海外では国によって大きく水準が違うという事実です。

フィリピンでは外国人が区分所有できる割合(コンドミニアムの外国人所有枠40%ルール)があり、土地は基本的に所有できません。この制限は投資ビザ取得にも直結します。フィリピンにはSRRV(特別退職者居住ビザ)という制度があり、50歳以上であれば2万ドル相当の預託金で取得できますが、永住権ではなくあくまで長期居住ビザという位置づけです。現地で実際に書類を揃えた経験から言うと、書類不備による手続き遅延は想定の2〜3倍かかると考えておく必要があります。

保険代理店時代の富裕層相談で見えた「移住計画の共通した落とし穴」

総合保険代理店に在籍していた3年間、個人事業主や資産5,000万円以上の富裕層の方々から資産相談を数多く受けました。海外移住を考えている方から出る質問の中で特に多かったのが、「移住先の税制が日本より有利かどうか」という点です。

しかし現実は単純ではありません。日本の居住者判定は国内に住所を持つかどうかで決まりますが、実態として年間183日以上を海外で過ごしていても、日本に生活の本拠があると判断されれば日本の課税対象から外れません。AFPとして税制の基礎は理解していますが、国際税務は専門性が高く、必ず税理士・弁護士への相談が不可欠です。制度の概要を理解することと、実際に適用されるかどうかは別の話です。

7か国の投資額と取得期間一覧|2027年時点の主要プログラム

投資額500万円以下で選択肢になる国と現実的な条件

2027年現在(最新情報は各国公式機関で必ず確認してください)、比較的少額の投資で居住権取得を目指せる国として、以下の7か国が代表的な選択肢として挙げられます。

  • マレーシア(MM2Hビザ):2023年改定後、ビジネスカテゴリーで年収1万5,000リンギット以上・50万リンギット相当の定期預金が必要。取得期間は概ね6〜12か月。
  • フィリピン(SRRV):50歳以上で2万ドル相当の預託が目安。長期居住ビザ扱い。
  • タイ(タイランド・エリートビザ):60万〜300万バーツ程度の一時金で5〜20年の長期ビザ。永住権ではないが居住権的に使える。
  • ポルトガル(ゴールデンビザ):2023年の不動産投資ルート廃止後、ファンド投資50万ユーロ以上が主流。取得まで2〜3年かかるケースも。
  • UAE(ドバイ):200万AED(約7,500万円)以上の不動産購入で10年ゴールデンビザ。またはビジネス設立要件での取得も可能。
  • グレナダ(CBI):15万ドル以上の国家変革基金への寄付、または22万ドル以上の不動産投資で国籍取得が可能。Eビザ(米国投資ビザ)申請資格も生まれる点が特徴。
  • マルタ(MEIN):60万ユーロ以上の寄付と不動産要件の組み合わせ。EU居住権に近い効果があるとされますが、EUとの関係は制度変更に注意が必要。

「500万円以下で取れる」という表現が出回ることがありますが、2027年時点でその条件に当てはまるのはフィリピンSRRVやタイエリートビザなど「永住権」ではなく「長期ビザ」に留まる制度です。正式な永住権・市民権を目指すなら、少なくとも1,000万〜5,000万円規模の資金準備が現実的です。キプロス永住権と不動産投資|宅建士が35歳移住計画で検証した5観点

取得期間の現実|「最短3か月」という広告に潜むリスク

投資ビザ取得の期間について「最短○か月」という表現を目にすることがありますが、これはあくまで書類が完璧に揃った場合の最短値です。実際には現地当局の処理状況・書類の翻訳・公証・送金確認などで大幅に伸びます。

フィリピンでの私の経験でも、書類が整ってからの処理に予定より2か月以上かかったことがありました。ポルトガルのゴールデンビザは申請から承認まで2〜3年かかった事例が複数報告されています。取得期間は「最短値」ではなく「平均値・最長値」で計画を立てることを強くお勧めします。

税制とビザ更新条件の差|家族要件と滞在義務の罠

「税制が有利」という触れ込みの裏にある滞在義務

海外移住の動機として節税を挙げる方は少なくありません。ドバイ(UAE)は個人所得税ゼロが知られていますが、実際にUAEの税制メリットを享受するには、原則として年間183日以上の滞在が必要です。また日本の税務当局の判断では、家族が日本に住んでいる場合や日本国内に主要な事業基盤がある場合、日本の課税対象から外れないと判断されるリスクがあります。

私自身、都内で法人を経営しインバウンド民泊事業を運営している立場では、単純に居住地を移すだけでは税務上の恩恵を受けにくい状況です。国際税務は個人の事情によって結論が全く変わるため、必ず国際税務を専門とする税理士に相談することを推奨します。

家族帯同要件と滞在義務の組み合わせが「想定外コスト」を生む

投資永住権を取得しても、配偶者・子どもを帯同するには追加申請が必要な国が多くあります。マレーシアのMM2Hでは配偶者と未成年の子どもは帯同申請が可能ですが、審査が別途発生します。グレナダのCBIは家族追加の費用が1人あたり数万ドル単位で加算されます。

また「滞在義務がない」と宣伝されているプログラムでも、永住権の更新時に「最低○日間の滞在実績」が求められる場合があります。ポルトガルは以前7日間/年で維持できると言われていましたが、制度変更が続いており、2025年以降は内容が変わっています。制度は生きており、取得時点の条件が更新時にも適用されるとは限らないことを念頭に置いてください。ドバイ2026年最新動向|宅建士が移住計画で精査した7論点

私が選定で外した3か国とまとめ|移住計画の現在地

2031年移住計画で私がいったん外した3か国とその理由

私の移住計画でいったん優先度を下げた国として、ポルトガル、グレナダ、マルタの3か国があります。理由はそれぞれ異なります。

  • ポルトガル:不動産ルート廃止後、ファンド投資ルートに集中しているが、2〜3年以上かかる取得期間と欧州の税制変化リスクが私の2031年というタイムラインに合わない可能性がある。
  • グレナダ(CBI):Eビザとの組み合わせは魅力的だが、国籍取得という形になるため、将来的な日本国籍の取り扱い(日本は原則として重国籍を認めていない)と整合させるために慎重な法的確認が必要。
  • マルタ(MEIN):EU居住権に準じたメリットがある一方で、最低投資総額が1億円を超えるケースも多く、現時点の私のポートフォリオの優先配分とは合わない。

現在私がもっとも注目しているのはドバイ(UAE)です。法人設立との組み合わせで居住要件を満たしながら事業基盤も構築できる点が、都内法人を経営している私のケースと相性が良いと判断しています。ただしこれはあくまで私個人の状況に基づいた考えであり、同じ選択肢があなたにとって適切かどうかは個人差があります。専門家への相談を強くお勧めします。

投資永住権比較を自分事として動かすための次のアクション

投資永住権の比較は、制度の表面を見るだけでは不十分です。取得後の維持コスト、家族の帯同費用、滞在義務と税務上の居住地判定、そして制度変更リスクを全てセットで考える必要があります。

私がAFPおよび宅建士として現場で見てきた中で言えるのは、「制度を選ぶ前に、自分の目的を先に言語化する」ということです。節税なのか、パスポートの強化なのか、資産保全なのか、生活拠点の多様化なのか——目的が変われば最適な国も変わります。

ドバイへの移住・海外法人設立を具体的に検討している方には、サポート実績のある専門家に相談することを検討してみてください。手続きの複雑さと現地の最新情報は、個人で追い続けるには限界があります。

ドバイ移住・海外法人設立サポート GVA法人登記

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。フィリピン・ハワイで実物不動産を所有し、現役の宅建士として国内外の不動産・資産形成を実務視点で解説。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、現在は都内法人を経営・インバウンド民泊事業を運営中。将来的なアジア圏への海外移住を計画しており、投資永住権制度を自身のケースで検証中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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